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レーヴァティン

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第二百二十話 ハイランダーの影その四

「節度はね」
「あったな」
「人間としてのそれはね」
「それで信長さんもな」
「節度があったわ」
「そうだよな」
「むしろ乱取りを禁じて」
 略奪を禁止したのである。
「少しでも盗むとね」
「ばっさりだったよな」
「女の人の顔を覗いても」
 被っている笠を上げてだ。
「切り捨てたって話もある位だから」
「そうしたことは厳しく禁じていたな」
「攻めても民は傷付けない」
 武器を持って向かって来ないとだ。
「そうしていたわ」
「だから俺もな」
「そうしているわね」
「ああ」
 それはというのだ。
「俺もな、じゃあな」
「それでいくべきよ」
「本当にそうだな」
「乃木大将に至っては」 
 順一は日清日露の二つの戦争で活躍した人物の名前を出した。
「決してです」
「武器を持たない相手はな」
「武器を向けませんでした」
「そうした人だったな」
「はい」
 まさにというのだ。
「ですから」
「そうした人も手本にしてな」
「ことを進めましょう」
「それが政だな」
「民を護るのも政ですね」
「この世界を救うならな」
「民を護ることはです」
 それはというのだ。
「絶対です」
「そうだよな」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「民に刃を向けることは」
「絶対にしないことだな」
「侵略を行い」
 そしてというのだ。
「そしてそこの民を殺し後に自分達の民を入れる」
「そうした入植もあったよな」
「アッシリアがそうでしたし」
 古代のこの帝国がというのだ。
「そして十字軍も」
「教化とか異教徒の征伐とか言ってな」
「本来の目的はこれが大きかったです」
「そうだったよな」
「東方十字軍でもです」
 プロイセンやリトアニア方面に進出した十字軍だ、やはりこの十字軍も侵略先にいた異教徒を殺戮している。
「そうしましたが」
「そんなことはな」
「我々は考えていません」
「全くな、どうも石になった世界は実は色々な人がいるな」
「その様ですね」
 順一も頷いて応えた。
「どうやら」
「ああ、二つの浮島にいる種族は人間だけだけれどな」
「実はほぼこの二つの浮島だけで」
「他の地域はな」 
 今は石になり海の中に沈んでいる世界はというのだ。
「実はな」
「様々な人がいるそうですね」
「エルフやオーク、鰐人とかな」
「もう何十もの種族が」
「随分面白い世界みたいだな」
「そこで例えばですが」
 順一はこう前置きして話した。 
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