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レーヴァティン

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第二百十七話 船の中でその七

「実際ね」
「俺もな」
 久志もだった。
「実はな」
「予言っていうとね」
「もうな」
 それこそというのだ。
「人類滅亡がセットだな」
「きつねうどんの薄揚げだね」
 淳二は今はチーズを食べつつ言った。
「それこそ」
「ああ、うどんが予言でな」
「あげが人類滅亡だね」
「もう人類滅亡がない予言の本なんてな」
 それこそというのだ。
「あげのきつねうどんだな」
「それもうただのかけうどんやろ」
 美奈代が笑って応えた。
「きつねうどんやなくて」
「それだな」
「うちも思うわ、予言の本にはな」
「人類滅亡が絶対にあるな」
「これがない予言の本ないわ」
 美奈代も言うことだった。
「それで売れん」
「売れもしないか」
「何で予言の本が売れるか」
「滅茶苦茶売れるからな」
「ベストセラーになるで」
 予言の本を出せばというのだ。
「ほんまに」
「五島さんの本とかか」
「漫画やと某週刊少年漫画雑誌のミステリー調査班や」
「どれも滅茶苦茶売れたな」
「そや、それで何故売れたか」
「人類滅亡があったからや」
 その予言があるからだというのだ。
「そやからや」
「売れるな」
「そやで、そやからな」
 それ故でというのだ。
「ほんま予言の本にはな」
「人類滅亡が絶対にあるな」
「そやで、しかし自分それはええか」
 美奈代は久志に考える顔になって問うた。
「予言の本は」
「だってよ、その時読んでもな」
 その予言の本をというのだ。
「一年後予言が外れてるだろ」
「その本で書かれてる予言がか」
「絶対当たるって言っててな」
 これも予言の本の常である。
「十年前の予言の本を古本屋で買うとな」
「あらかた外れてるな」
「その証拠に一九九九年七月過ぎたぜ」
 とうの昔にとだ、久志は笑って言った。
「こっちの世界でもそうだろ」
「ああ、色々予言あるな」
 美奈代もそうだと答えた。
「東の浮島でもな」
「けれど本で書かれてる様なな」
「予言はか」
「もうな」
 それこそというのだ。
「十年後読むと、次の年でも」
「かなり外れてるからか」
「だからな」 
 それでというのだ。
「俺としてはな」
「予言の本はええか」
「それ位ならな」
「一時でも惑わされるとまずいだろ」 
 芳直は怪訝な顔で言った。
「そうだろ」
「いや、だから一時でな」
「すぐにわかるか」
「絶対に当たる予言が片っ端から外れているんだぞ」
 本で書かれているそれがというのだ。 
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