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レーヴァティン

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第二百十七話 船の中でその四

「壊血病でもな」
「その通りでござるな」
「ああ、けれどな」
 それでもというのだ。
「そのことを知らない奴もいる」
「他の病気についても」
「ペストだってな」
 このあまりにも有名な伝染病でもというのだ。
「悪魔の仕業とかな」
「他にも誰彼が広めているだの」
「そうデマを垂れ流してな」
「迫害や弾圧に使う輩もいるでござる」
「敵対関係を煽る場合もあるさ」
 こうしたケースもあるというのだ。
「それでな」
「自分達の目的を果たそうとするでござる」
「人の不安を煽る奴なんてな」
 久志はさらに言った。
「もうな」
「碌でもない輩でござる」
「それが相場だな」
「全く以て」
「それじゃあな」 
 まさにというのだ。
「そんな奴こそな」
「成敗すべきでござる」
「本当にそうだな」
「そうした者達を裁く法もありますが」 
 夕子が言ってきた。
「帝国には」
「騒乱罪な」
「はい、ですがこれは使い方がです」
「中々難しいな」
「言った言わないの話になり証拠もです」
「掴みにくいな」
「言動は物的証拠とはです」
 それにはというのだ。
「何しろものではないので」
「絶対にならないからな」
「デマを書いた紙等があれば別ですが」
「それが中々な」
「あるものではありません、そして一旦流れた噂は」
「消えにくいからな」
「人を貶めるにはどうすればいいか」
 夕子はここでこうも言った。
「その人の下半身を狙え」
「スキャンダルってやつだな」
「それを流せばです」
「一番効果がある」
「はい」
 パン、柔らかいそれを食べつつ言った。
「そうです」
「嘘でもな」
「噂は消えずです」
「耳に残るしな」
「事実無根でも」
 久志が今言った場合の様にというのだ。
「それでもです」
「耳に残ってな」
「その人の評判は落ちます」
「確実にな」
「ですから」
「そいつを貶めたいならな」
「下半身です」 
 そこを狙えというのだ。
「そうすることが一番です」
「そうだよな」
「ただ」
 夕子は苦い顔になって述べた。
「こうしたことをする人は」
「もう絶対にな」
「信じてはいけませんね」
「最悪に汚いやり方だからな」
 人の下半身を攻めるそれはというのだ。 
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