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犬がキューピット

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第三章

「全部ね」
「それは何よりね」
「うん、本当にシロあってよ」
「じゃあ感謝してもしきれないわね」
「そう思ってるわ」
 実際にとだ、佳奈は笑顔で応えた。
「私もね」
「じゃあこれからも」
「うん、シロと一緒にいるわ」
「そうするのね、それだけこの子があんたにしてくれるのは」
 友人は佳奈が焼いてくれたクッキーを食べつつ言った。
「あんたが拾ったのよね」
「小学一年の時にね」
「つまりあんたに助けられてそれからも大事にしてるわね」
「そうしているわ」
「だったらね」
 それならというのだ。
「この子もあんたのことを大事に思って」
「それでなの」
「犬も心があるのよ」
 そのシロを見て言うのだった。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「あんたが淳史君と幸せになれたのは」
「私がシロを拾って大事にしているから」
「そうよ、あんたのその行いがね」  
 まさにそれがというのだ。
「あんたを幸せにしたのよ、この子が促してもあんたは努力したし」
「それでなのね」
「あんた自身があんたを幸せにしたのよ」
「そうなるのね」
「ええ、じゃあこれからも」
「努力してそしてシロも大事にする」
「そうしていくといいわ」
「わかったわ」
 笑顔でだった、佳奈は。
 友人の言葉に頷いた、するとここでシロは起きて尻尾を振って彼女のところに来た。そのシロの頭を撫でるととても温かかった。


犬がキューピット   完


                 2021・8・22 
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