八条学園騒動記
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第六百二十三話 茶道の部室へその四
「あの人極楽にいるよ」
「利休さんもそうよね」
「勿論だよ」
菅は七海にも答えた。
「素晴らしい善行を行ったから」
「大勢の人を食べさせたから」
「お仕事を与えてね」
「だからなのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「この人達は」
「極楽にいる」
「今は」
「絶対にそうだよ」
スターリングと蝉玉に答えた。
「幸せに過ごしているよ」
「大勢の人を殺しても」
彰子も言った。
「それでもなのね」
「それ以上に人を救ったら」
「極楽に行けるの」
「ましてそれが殺した人の百倍ならね」
「余計に」
「これがサイコ殺人鬼なら論外でも」
この類の輩は例え秀吉の様に創作になってもというのだ。
「邪悪かっていうと」
「そうでもなかったから」
「だからだよ」
「極楽に行ってるの」
「そうだと思うよ」
彰子にも話した。
「僕はね」
「百倍の人を救う」
「殺した人よりもね」
「そうなのね」
「そして」
菅はさらに話した。
「確かに秀吉さんは戦や粛清で沢山の人を殺したよ」
「利休さんも秀次さんもね」
「けれど戦で死んだ人の供養をしたり」
耳塚がそれである、朝鮮戦役で命を落とした敵味方の将兵を分け隔てすることなく弔わさせたのである。
「善政を行って沢山の人を救ったり」
「いい政治はしていたのよね」
「そうなんだ、天下を泰平にするね」
統一したうえでというのだ。
「それを行って」
「もう戦が起こらない様にして」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「奴隷になっていた人達を」
「あっ、お金出して奴隷から解放して」
「日本に連れ戻しているよ」
「そうだったわね」
「海外に売り飛ばされていた人達がいたけれど」
五十万程いたらしい。当時日本でも人買いがいたがそこからキリスト教の宣教師達が彼等を買いそうして海外で奴隷として使っていたのだ。
「けれどね」
「それでもよね」
「そう、その話を聞いて」
日本人が海外で奴隷にされていると聞いてだ。
「すぐにお金出して」
「買い戻したのよね」
「それで助けているよ」
「これは善行よね」
「秀吉さん一代のね」
「よくないこともしたけれど」
このことは事実でもだ。
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