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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百五話 ガルフォード、駆けるのことその七

「その為にだ」
「いいのね。かなりの強行軍になるけれど」
「構わない。俺は脚には自信がある」
「伊達に医者王という訳じゃないのね」
「ああ、そうだ」
 その通りだとだ。華陀は曹操に対して微笑みで返した。
 それでだった。彼は。
 ガルフォードにだ。こう尋ねたのだった。隣にいる彼に顔を向けて。
「大丈夫か?犬達も」
「ああ、大丈夫だ」
 見ればだ。パピィ達はだ。
 ガルフォードの足下で尻尾を振って干し肉を食べている。実に美味そうに。
 それを見ながらだ。ガルフォードは華陀に話した。
「よかったら水もくれないか?」
「そうか。それだけの食欲があればな」
「いけるからな」
「ならいい。犬達にとってもかなり激しい疾走だったからな」
 それだけ急いだからだというのだ。
「疲れていなくて何よりだ」
「さて、じゃあ」
 曹操はさらに話す。
「既に山までの道に兵糧や武器は置いてあるし」
「そんなことまでしていたのか」
「孔明が手配してくれていたのよ」
 彼女がだ。そうしていたというのだ。
「いざという時に備えてね。兵を迅速に進められる様にね」
「兵糧や武器は戦には欠かせないが」
 華陀が言う。彼もこのことは熟知しているのだ。
「軍を動かす際には重しになるからな」
「だから。進む途中に手配しておいたのよ」
 そうしたというのだ。孔明がだ。
「あの山への道だけでなく各地にね」
「いざとなれば何処でも迅速に動ける様にか」
「そういうことよ。つまりは」
「じゃあ今から全速力で駆けてか」
「山に向かうわ」
 曹操はまた華陀に話した。
「じゃあ行くわよ」
「よし、わかった」
「なら行くか」
 華陀だけでなくガルフォードも応える。こうしてだった。
 彼等はすぐに兵を出した。まずは先陣だった。
 張遼達がだ。馬を駆けさせる。その全てが騎兵だ。
 そしてだ。彼等は。
 武器も鎧も備えていない。身軽なまま全速で駆ける。その中でだ。
 馬超がだ。張遼に尋ねる。
「あの山に行くんだよな」
「そや、定軍山や」
 こうだ。張遼も馬超に答える。二人は馬をありったけの速さで駆けさせている。 
 その中でだ。張遼は馬超に話す。
「飯に武器とか鎧は途中に置いてるさかいな」
「食って途中で身に着けてだな」
「あの山に向かうんや」
 そうするというのだ。
「それはもうわかってるな」
「わかってるさ。問題は馬だよな」
「うち等の馬はいける」
 彼女達の馬はそれぞれ名馬だ。かなりのことでも息をあげない。
 しかしだ。兵達の馬はだ。どうかというのだ。
「そやけど兵の馬はや」
「大丈夫かよ。あの山まで全速で駆けてもよ」
「馬も用意してある」
 糧食や武具だけではないというのだ。
「そやから馬の息があがったらや」
「すぐに乗り換えてか」
「あの山まで行くんや」
 とにかくだ。それは絶対だった。
「急がなしゃあないからな」
「だよな。あたし達が最初に山に入って」
「秋蘭ちゃん達助けるで」
「あの連中はそう簡単にやられないだろうけれどな」
 それでもだ。油断はできなかった。
 それがわかっているからだ。馬超も言うのだった。
「急ぐか」
「ああ、うちも進軍の速さには自信があるけどな」
「あたしもな」
 この辺りはだ。馬の扱いに長けている彼女達ならではだった。
 
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