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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百四話 あかり、闇を感じるのことその二

「それでは今度ですけれど」
「今度?」
「今度というと?」
「はい、次のお食事の時でもいいですけれど」
 今度といっても暫く先とは限らなかった。
「その時にでも一緒に作りませんか」
「ああ、面白いな」
 崇雷が彼女の話に乗った。
「では今夜にでもな」
「二人で凄い杏仁豆腐を作りましょう」
「料理には自信がある」
 崇雷の特技である。
「少なくともジェニーやビリーには負けないからな」
「あの二人はな」
 二人の話にはだ。夏侯淵も顔を曇らせて言うのだった。
「あれだな。姉者や麗羽様に似たものを感じるな」
「あと関羽ちゃんだな」
「あの娘も料理はな」
 こちらの世界の人間ではこの三人が最凶だった。
「壮絶なものがあるな」
「尋常じゃないものがあるからな」
「確かビリー殿とジェニー殿は」
 どうなのかとだ。夏侯淵は話す。
「イギリスという国に生まれているな」
「俺達の時代で料理が最もまずい国だ」
「最悪の国です」
 秦兄弟の今の言葉は毒舌ではなく事実だった。
「どんないい素材でも完全に殺してしまう」
「料理の才能は皆無です」
「そうした国なのか」
「ああ、俺達アメリカ人もあまり人のことは言えないだろうがな」
「あの国はダントツだな」
 ラルフにクラークも太鼓判を押した。悪い意味で。
「とにかくな」
「あの国に美味いものは滅多にないからな」
「俺の時代でもそうだったな」
 ガルフォードも言う。
「あの国に美味いものはなかったらしいな」
「ううむ、イギリスとはどういう国なのだ」
 夏侯淵は仲間達の話を聞いて馬上で眉を顰めさせる。
「美味い料理はないのか」
「軍の携帯食もです」
 今度はレオナが話す。
「食べられたものではありません」
「あの。普通進軍中の食事はです」
 それはどうなのかとだ。典韋が話す。
「粗食が普通ですが」
「それすらない場合もある」
 夏侯淵も話す。
「糧食は重要だがな。なくなる場合もあるからな」
「そうですよね。ですから」
「その糧食もか」
「酷いものです」
 レオナはまたイギリス軍のその携帯食について話す。
「あれを食べる位ならアメリカ軍のレーションセットの方がずっとましです」
「あれも酷いけれどな」
「イギリス軍は別格だからな」
 ラルフとクラークはそのレーションについても話す。
「とにかくイギリスもイギリス人もな」
「舌は壊死してるようなものだからな」
「あの連中に料理の才能はない」
「正直。お薬だけを飲んでいればいい位です」
 秦兄弟も辛辣に話していく。
「サプリメントだったな」
「あれを飲んで済ませた方が味がいいです」
 薬以下だというのだ。イギリスの料理は。
 そうした評価を聞いていってだ。夏侯淵はあらためてこう言った。
「若しかすると姉者以上なのか。イギリス人は」
「否定はしないな」
「その通りだからな」
「そうした国もあるのだな」
 ラルフとクラークの話も聞きながらだ。夏侯淵はそうしたことも知った。
 そのうえで彼等は定軍山に向かうのだった。
 その彼等をだ。あの白装束の者達が影から見ていた。そうしてだった。
 そこから消えてだ。すぐにだった。
 闇の中でだ。于吉達に報告するのだった。
「やはりです」
「定軍山に向かっています」
「一見北に向かうと見えましたが」
「進路を変えました」
 それを聞いてだ。于吉とそして彼と共にいる左慈はだ。
 邪な笑みを浮かべながらだ。こう言ったのだった。
「予想通りですね」
「そうだな」
 二人でこう言い合う。
 
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