DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)
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双丘は無事だった!
船は何もない平原を目指し進んでいる。
何故何もない所を目指しているかと言うと、スーで町造りを行っているジジイの事を聞いたからだ!
行きたくねー…
エコナ様が居なくなったのに、あの場所へ行くのは気が引ける…
例の爺様が『商人がいれば町造りが出来たのに!!』なんて言い出したらどうする!?
何か私の所為で町造りが頓挫してるみたいじゃん!
大体ゲームじゃ、此の為だけに商人を登録して、例の爺様に進呈するんだからね!
ある意味、人身売買なんだから!
件の場所に到着すると、其処には小さな小屋が1軒あり、池を挟んで向かい側には建設中の建物がある、奇妙な場所に辿り着いた。
「以前来た時は、あの小屋が1つあるだけだったんだ」
モニカ様が小さな小屋を指差し説明してる。
すると、その小屋から1人の爺と1人の女が出てきました。
すげーでっかいオッパイを揺らして!
「あ!!も、もしかしてリュカはん!?やっぱりそうや!リュカはんや!!」
にゃんと!
『不幸な事故』により、津波に攫われてしまったエコナ様が元気にオッパイを揺らして近付いて来るではないですか!!
そして、勢いそのままでお父様に抱き付きキスをする!
うん。今夜もお母様は激しそう…
「…んっぷは!エ、エコナ…無事だったんだね!?」
「ご心配掛けて申し訳ない…でも、ウチはこの通り元気や!この近くの海岸に打ち上げられたのを、この爺さんに助けられ介抱してもろたんや!」
どうやら助けてくれたのが、枯れ果てた老人だった為、肉穴扱いはされなかった様だ。
「「エコナ!!」」
アルル様とハツキ様が泣きながら抱く。
「無事で…本当に良かった…!」
「ありがとうな…アルル、ハツキ……ウチはメッチャ元気やで!」
みんな喜んでいる…
このチャンスを逃してはいけない!
悄らしく泣いて見せて、私に罪が及ばない様に誘導せねば…
「あ…あのぅ…エコナ様………ごめんなさい…」
幼子が泣いて謝ってるのに、怒ったりしたらエコナ様は冷ややかな目で見られるだろう…
例え叱り心頭でも、大人としては笑って許すしかないのだ!
そして許してしまった以上、今後は誰からも責められる事はないはず!
「私の所為で…ごめんなさい!」
「マリーちゃん…気にする必要ないねんで!ウチは無事やったんやから…泣かんといて」
私を優しく抱き締めるエコナ様…
チョロい!
「それにウチ、感謝してるんやで!」
あ゛?何で?
「ウチな…此処で町を造るんや!あの爺さんに協力して、ウチが町を造るんや!……波に攫われてなかったら、こんなチャンスには巡り会えへんかったんやで!!」
勝手にイベントが進行しちゃった………ま、いいか。
「え!?どういう事?…この爺さん、エコナの旦那様?」
「何でやねん!何でこんな枯れ果てたEDと結婚せなあかんねん!!」
素敵な突っ込みだ!
「エ、エコナさん…落ち着いて!」
突っ込み担当はお兄様なのに、宥めるしか出来ないなんて…
「ワシ、エコナ、見つけた!海で…、ワシ、思った。エコナ、出来る!町、造る事、エコナ、出来る!!」
このスー族の喋り方って、片言で理解しづらいわぁ…
「………そう言うわけや。ウチ、この爺さんに助けられ話を聞いたんや…そんでチャンスやと思うたんよ!…せやからごめんなアルル!ウチ…これ以上は一緒に冒険出来んねん!此処に残って町を造るから……」
「気にしないでエコナ…貴女は自分の夢を見つけたのだから…それに向かって頑張って!」
あれ!?
でもそうすると、例のイベントが正常に発動した時、此処で町造りをせざるを得ない状況に追い落とした私が恨まれませんか?
やりすぎ商人に、町民達がクーデター!
そして投獄されて、彼女は全てを失う事に…
きっとゲームと違って、怒りが股間に集中した男達が、力任せにあの巨乳を味わっちゃうんだぜ!
ヤバイヤバイ!
きっとみんなこう思う…
『こんな場所に流れ着かなきゃ、酷い目に遭う事はなかった!→いやいや、津波に攫われなければ、こんな事にはならなかった!→つまり津波を起こした者の責任じゃん!』
ってな感じに、私がネチネチ責められる…
津波とかじゃなく、普通に此処に来てエコナ様が町造りを始めれば、私は何も関係なかったのに…
こうなったら、町造りに成功してもらうしか、私の平和は望めない!
「あ、あの…エコナ様…無理をされてはダメですよ!」
「どうしたん、マリーちゃん?ウチ、無理なんてしてへんよ」
「そうじゃないんです…町を造るって、大変な事だと思いますぅ。エコナ様は凄い人だから町造りの先頭に立って、活躍されると思いますぅ…」
「ありがと、マリーちゃん…」
「でも町を造るって、一人じゃ出来ません!町が大きくなればなるほど、大勢の人が協力し合い町を発展させて行くと思いますぅ!そんな時、無理をしてはダメですよ。漁ってはダメですよ。休む事も必要なんですから…」
「良い子やなマリーちゃんは!さすがリュカはんの娘やね。息子とは血が繋がっているか疑問やけど、マリーちゃんは間違いなくリュカはんの娘やね!」
違う違う!
良い子とか、そう言うのどうでもいいから!
焦らず地道にクーデターなどは起こさせない様に!!
ともかくそれが大事なんだからね!
何やらみんなが爆笑しているのだが、私の意識は未来のこの町に向いていた。
「ところエコナ…町の名前は?」
急にマイダーリンが問いかける。
「よくぞ聞いてくれた!『エコナバーグ』や!この町は『エコナバーグ』や!!世界中に広めておいてや!『エコナバーグ』の名を!」
「スピルバーグみたいな名前だな…」
そりゃ映画監督じゃん!
思わず口に出して突っ込みそうになったけど、何とか踏みとどまりました!
「何やそれ?」
当然、此方の人々は分かるわけもなく、虚しくギャグが滑ったみたいになっている。
「あぁ…気にしないでいいよ。言ってみただけだから…」
本当…バカなのね。
未だに転生前の世界と転生後の世界の区別が付かないなんて…
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