八条学園騒動記
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第六百十八話 チョコレートも食べてその五
「そして基本的に菜食です」
「そうですね」
「ですが美味しいものはです」
「食べていけないとはですね」
「ありません」
「私も聞いたことがありません」
ベッキーも言ってきた。
「そうしたお話は」
「貴女もですね」
「あえて粗末な味を食する宗教は」
「ありますね」
「味気のないものを」
それをというのだ。
「キリスト教ですね」
「その中でも禁欲的な一派ですね」
「そうした宗派ではありますが」
粗食を貴び味付けも非常に粗末なものをというのだ。
「しかしヒンズー教ではです」
「ありませんね」
「私も聞いていません」
ベッキーはまたこう言った。
「むしろマウリアでは」
「香辛料を多く使いますね」
カリーは多くの種類の香辛料を調合して作ったものである、だからこそ辛く刺激的な味であるのだ。
「そして甘さも」
「お砂糖に蜂蜜に」
「ミルクにと」
「伝統的に」
「そうですね」
「ですから粗末な味なぞ」
そうしたものを食べろ、と言うことはというのだ。
「求めません」
「それがマウリアですね」
「カーストにより入られるお店は違っても」
「味については」
「何の制約もありません」
「だからですね」
「連合のお菓子を楽しまれたいなら」
連合の味で、である。
「いいのです」
「そうですか、では」
「シェフのマガバーンさんにですね」
「お話します」
「それでは」
「やはりマウリアの味が最もいいですが」
馴染んでいる味だけあってだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「連合の味も好きになってきたので」
そして連合の菓子もである。
「是非」
「それでは」
「いただきます」
「そうお話されますね」
「屋敷に帰りましたら」
その時にというのだ。
「そうさせて頂きます、そして飲みものは」
「何にされますか」
「これはマウリアのミルクティーを」
これだというのだ。
「やはりそれがです」
「お飲みものはですか」
「一番いいので」
それでというのだ。
「こちらは連合のものでなく」
「マウリアのものですね」
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「レモンティーは」
これはというと。
「やはりですね」
「マウリアでは飲みません」
「同じ紅茶でも」
「そうなっていますね」
「そうです、悪くないと思いますが」
その味自体はというのだ。
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