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レーヴァティン

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第二百八話 ライン川へその一

               第二百八話  ライン川へ
 久志率いる帝国軍の主力はミュンヘンを手に入れるとそこを拠点としてそのうえでさらに進んでいった。
 シュツットガルトの騎士団も戦わずに降り。
 久志はそこからさらに進んでいった、その中で。
「騎士団領南西の山岳部の辺りの諸都市もか」
「はい、我々のことを聞き」
「そしてです」
「戦わずに降ってきています」
「そうなってきています」
「降った街はそのまま帝国に入れてな」
 久志は本陣で将帥達の話を聞いて言った。
「そしてな」
「周辺都市にもですね」
「降る様に言ってもらう」
「そうしていきますね」
「ああ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「あの辺りもな」
「掌握していき」
「そしてですね」
「帝国に組み入れていきますね」
「そうしていってな」
 久志はさらに話した。
「南西部自体もな」
「手に入れていきますね」
「このまま」
「そうもしていきますね」
「出来るだけ早くルールやハンブルグを抑えて」
 そうしてというのだ。
「ライン川の東岸もな」
「そちらもですね」
「掌握し」
「王国、連合王国の援軍も遮断しますね」
「今のところ連中は入ってきていない」
 騎士団領にというのだ。
「軍はな」
「送ろうとしていますが」
「動きが鈍いですね」
「出し渋っている感じがしますね」
「三国の仲が上手にいってないからな」
 互いに疑心暗鬼になっているためである、相手の国がそれぞれ自国に対してよからぬことを企てているのでないかと疑ってだ。
「俺達が流した噂でな」
「根拠のない噂で」
「中には荒唐無稽なものもありましたが」
「それでもある程度信じてですね」
「効果を出していますね」
「噂は耳に入るとな」
 それでというのだ。
「どうしても気にするな」
「誰が言っているかわからないと」
「そうなりますね」
「無意識のうちでも」
「全く信用出来ない奴が言ったならな」
 そのことがわかっていたならというのだ。
「やっぱりな」
「信じないです」
「嘘吐きが言うことなぞ」
「どうせ嘘に決まっている」
「そう思って」
「ああ、けれどな」
 それでもというのだ。
「誰が言ったかわからない」
「そうであるならですね」
「嘘かどうかわからない」
「どうせ嘘と思っていても」
「それでもですね」
「信じるからな」
 だからだというのだ。
「そこが狙いなんだよ」
「左様ですね」
「噂は根拠がわからない」
「そして記憶に残る」
「そのうえで思考に影響を与えますね」
「そうなるからな」
 だからだというのだ。 
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