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レーヴァティン

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第二百七話 冬の進軍その六

 彼は村の畑を見てこうも言った。
「やっぱりジャガイモが多いな」
「騎士団領と言えばジャガイモです」
「パンと並ぶ主食です」
「だからです」
「ジャガイモ畑も多いです」
「よく食べられています」
「そうだな、ジャガイモなくしてな」 
 周りの将帥達にも応えて述べた。
「この国はないな」
「左様です」
「ジャガイモで生きている国です」
「だからこそです」
「多くの畑で作っています」
「そうだな、俺達も食ってるしな」
 久志は笑ってこうも言った。
「これからもどんどん作ってもらってな」
「食べてもらう」
「そうしてもらいますね」
「この地の民達には」
「そうしてもらうな、ただ見たらな」
 久志は村も見た、そして彼等が食べているパンやおかずが帝国料理に似ているかそのままのものも多いのも見て言った。
「帝国、半島の料理も多いな」
「騎士団の民も領主も騎士達も半島への憧れが強いので」
「元は同じ国なので」
「それで、です」
「憧れが強いのです」
「そうなのです」
「そうなんだな、騎士団領と半島は縁が深いんだな」
 それでとだ、久志はまた言った。
「料理も同じものが多い位に」
「特に領主層はそうです」
「そして騎士は」
「半島の料理をよく食べます」
「パスタやピザを」
「そうしています」
「チーズもよく食うんだな」
 半島でそうしていることから言った。
「そうなんだな」
「左様です」
「それにトマトやアボガドも」
「わざわざ民達に作らせて」
「そうして食べてさえいます」
「そして民達も」
 そうしたものを造らされている彼等もというのだ。
「そうしてです」
「作っています」
「そしてです」
「そのうえで食べています」
「そうだな、あの姉ちゃん食ってるな」
 若い女性が店の外でスパゲティを食べているのが見えた、見ればトマトと大蒜を利かせたソースをかけている。
「実際に」
「あの通りです」
「民達もよく食べています」
「その様にしています」
「そうなんだな」
 久志もその女を見つつ頷いた。
「半島への憧れが強いか」
「文化的に」
「特に芸術家がそうですね」
「半島に憧れが強く」
「絵画も音楽も半島の影響が強く」
「そして料理もです」
「あの通りです」
「そうか、じゃあ騎士団の領土が帝国に入ってもな」
 それでもというのだ。
「仲良くやれるな」
「そうかと」
「我々もそう思います」
「半島の民も騎士団領は嫌いではないですから」
「相性もいいですし」
「ああ、確かに騎士団領にいるとな」
 久志も感じていることだった。 
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