それから 本町絢と水島基は 結末
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5-⑸
後期の試験が終わって、集中講義だけになったので、僕は、自動車学校に通い始めた。バイト代を貯めていたけど、足らないのでお母さんに頼み込んでいた。絢も一緒に通うことになった。
富美子ちやんの試験のこともあったので、夜は殆ど教えに行くようにした。絢も、土日はお店に出ると言っていた。
「後、2か月しか一緒に居られないんだね。あっちでも、寮に入るの」
「うん 多分 慎二も寮だと思うから 2回生の間は寮で良いかなって思ってる」
僕は、2回生になると、大学キャンパスが変わる。そんなに離れているわけではないが、隣の市に移ることになる。絢は、最近しきりに、そのことを聞いて来る。心の中で何かに焦っているのだろう。
「会えなくなるね 入学した時からわかってたんだけど ウチも海洋にすればよかったカナ」
「離れるったって、今とそんなに変わらんよ 電車で1本やん クラブでこっちにも来るし」
「でも、同んなじ授業ちゃうやん 昼休みなんかも会えへんやん」
「絢は子供達に教えるのが夢なんだろー しょうがないやん 良い先生をめざせよ」
「そうなんやけどな なんか寂しい」
「大丈夫だって 会いに来るよ 絢こそ、寂しいからって、他の男になびくんじゃあないぞ」
「なんでー ウチには男はモト君しかいてへんわー 今までやって、声掛けられても、知らんぷりしてたんやから」
「絢、そんなことあったんか」
「あー ちゃうって 例えばの話」
実際、何回かあったんだろう。同じ、水泳部の川崎葵に聞いたこともあった。意外と、絢はストレートに断れないみたいだ。
「茜ちゃんと詩織ちゃんも言ってたよ 慎二君にもう会えないね って お昼休みの男探さなきゃって 慎二君、早く捕まえないと、二人とも逃げられちゃうよって言っといてね」
「そんなこと言ってんのか 冷たいなぁー」
「女の子って そんなもんだよ 男がはっきりしないのなら・・」
「そうか とりあえず、言っとく でも、慎二は意外と理想高いからな」
絢よ、友達とはいえ、あんまり立ち入るなょ お前の主義からすると違うだろう と僕は、ふと思った。
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