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レーヴァティン

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第二百五話 配備と調略その九

「パスタもあったけれどな」
「カルボナーラについてはどうか」
「ちょっと見なかったな」
「いえ、お店によりますが」 
 順一もカルボナーラを食べている、そうしつつ久志に話した。
「ありました」
「そうだったか」
「久志君も観ていたのでは」
「その時別にカルボナーラは食う気分じゃなかったからか」
 騎士団領にいた時はとだ、久志は答えた。
「だからか」
「それで、ですか」
「ああ、気付かなかったか」
 騎士団領でもカルボナーラがあることにというのだ。
「そうか」
「興味がないとですね」
「そこにあってもな」
「気付かないですね」
「そうだな、興味があってこそな」 
 そのうえでというのだ。
「やっぱりな」
「人は気付いてですね」
「見るな」
「そうですね」
「興味があるものは」 
 久志はさらに言った。
「もう無意識のうちにな」
「見てですね」
「そしてな」 
 そのうえでというのだ。
「見付けるな」
「そうなりますね」
「その頃確か俺はパスタはボロネーゼが好きだったんだよ」
 このスパゲティがというのだ。
「それでな」
「ボロネーゼを探していて」
「カルボナーラはな」
「暫くはですね」
「食べようと思わなくてな」
 それでというのだ。
「騎士団領にいた時は」
「お店にあることもですか」
「気付かなかったな、けれどこれはな」
「政のうえではです」
「よくないな」
「自分の関心がないことでも国政の大事なら」
 それならというのだ。
「しっかりとです」
「見ておかないとな」
「はい、失政につながります」
「そうだよな」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「食事ならいいですが」
「政においてはな」
「気をつけていきましょう」
「そうだよな」
 久志は順一にそのカルボナーラを食べつつ応えた、濃厚な生クリームと卵の黄身と黒胡椒それにベーコンの味が絶品だ。
「政はそうはいかないな」
「はい、そしてこのことは」
 順一はさらに言った。
「私達もです」
「同じか」
「誰もがです」
 まさにというのだ。
「同じです、ただ十三人もいれば」
「それぞれが見てな」
「完璧にはいかずとも」
「それぞれ興味があるからな」
「かなり目がいきます」
 その政においてというのだ。 
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