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それから 本町絢と水島基は  結末

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第三章
  3-⑴

 家の中庭でバーベキューの準備が出来ていた。お父さんの会社が、明日から5日間夏休みになるので、ご苦労さん会みたいにやることになったみたい。お盆の間は忙しいので、それを避けた形っていうのは毎年のことだ。今日の会は、私が帰ってきたので、お父さんがみんなに私を会わせたくて、やろうって言ったのだろう。

 お母さんが、私に浴衣を着せたいというので、用意していた。紺地に朝顔の花の絵、赤茶の帯、藤沢さんのおばさんと何となく選ぶ感覚が違うなと思った。でも、今夜は、髪の毛を全部頭の上に上げるようにしてもらっていた。もちろん、蝶のネックレスも、それとなく。

「今年も前半だが、みんな頑張ってくれた。ありがとう。後半も頑張ろう 乾杯」

 従業員の中で一番年上で65才位になる及川さんが音頭をとった。この人は、私が生まれた時には、もう勤めていて、祖父の代から居る。祖父が突然、亡くなって、お父さんが会社を継ぐことになった時も、会社のこと全てを仕切ってくれて、なんとか会社が継続することが出来たらしい。お父さんとお母さんが会社のことにかかりっきりだったので、小さかった私のことを構う間もなかったので、及川さんは何かと面倒を見てくれていた。だから、私、お父さんの次に、及川さんにビールを継ぎに言ったの

「あぁ いとはん いゃーもったいない 私なんかに そやけど、べっぴんさんにならはりましなぁ 大学に出て行かはりまして、寂しかったですわ」

「相変わらずお元気そうで ウチのこと、いつも気にかけてくれてありがとうございます」

「やっぱり、急に大人になったみたいですなぁ」

「いとさん あん時の彼氏と付き合ってるんでしょう 元気でっか、痩せぽっちの男の子でしたわな」と、もう酔っ払い気味の山本さんが余計なことを言ってきた。私は、黙って、お腹にパンチを出した。

 私は、仕返しに、野菜ばっかりを載せて、山本さんに持って行った。

「ありがとうございます あっ いとさん これ野菜ばっかですやん」

「肉ばっかりやからお腹出てきたんとちゃうの 新婚さんやのに 奥さん可哀そう それと、彼は水泳やってるから、筋肉もりもりやでー」とやり返してやった。

 お父さんと及川さんが並んで、話をしていたんだけど「小学校に上がった頃、絢は小さな声しか出さないし、下ばっかり向いて、控えめにして、とにかく目立たないようにしていた。わし等夫婦も会社のことがあったんで、かまってやれなかったので、余計にそうなってきたんだと思う。及川さんにも世話になって感謝しています」とお父さんが言っている。及川さんは「いやいや めっそうもない 私は、いつも独りで本とか絵とか描いていたもんで、声をかけていただけですわ」

 私は、他の人とはしゃいでたんだけど、それを見て、お父さんが、まだ、話込んでいるのが聞こえて「あのままだと、この子は暗い閉じこもりの子になるかと思っていたが、こんなに明るく、前に出てくる子になるなんて あの彼氏というのが変えてくれたんかな」 横に居た及川さんが「社長 それは違いまっせ もともと、いとはんは自分の信念を持ってはった それを、その彼氏さんが よーく見てはったんとちゃいますか まあ、よーございましたな」と

 
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