【自作イラスト追加しました】悪役令嬢に憑依させられたので、婚約破棄してきた婚約者の頭を掴んで宙に持ち上げてみた~外は美少女中身はゴリラの異世界譚~
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乙女ゲーム……それは恋愛ゲームである
馬車に乗って逃げ出した私達。
夜間も徒歩で逃げようかと思ったが、むしろ見通しの悪い道で襲われるよりはとどまった方が良いだろうという事になり、何とか乗れた乗合馬車の終着点で私達は宿をとることにした。
明日の朝、朝一で移動をしたいので馬車が出る時刻を聞く。
ついでに村の宿の位置も聞いた。
一つしかないと言って場所を教えてもらい、馬車の人にお礼を言う。
村にあった宿は空いていたのもあって二人部屋がとる事が出来た。
ようやく一息ついてから私はクレアに、
「さてと。この世界の構造は基本的に私が知っているゲームと似たような構造というか人物配置をしているようね」
「そうなの?」
「ええ、ただこのバッドエンドフラグ全てを立て終わった後のこの状況でどうしようかという所はあるわね」
「もうほとんど変えることの出来ない、それを変えられるの?」
「それは変えられるでしょ? たぶん。どうも未来予測みたいだし。条件を変えれば、話も変わってくるはず。出来なければ積むだけ」
クレアは黙った。
異界の未来が書かれている【書】扱いの、【乙女ゲーム】。
そんな仰々しいものかな、とは思うが現実にその通りに物事が進む世界にいる住人からすれば、笑いごとにはできないだろう。
とはいえ今の所この世界のリセ曰く、【未来予測】であるらしい。
ならば変えられるだろう。
でなければそれを知る私がここに呼ばれた【意味】がない。
何もできずあるがままの運命を受け入れるならば私を呼ぶ必要もない。
そしてわざわざ後味の悪いエンディングをただ私に見せるだけ、というM(マゾ)プレイも私は好みではない。ならば、
「とりあえずは、やれるだけやってみるわ。明日にはトトの町につくからそこで……しばらく家出して生活することになるから、お金を稼いでおいた方が良いわね。依頼を受けてある人物達と接触することになる」
「分かったわ。それでその人達はどんな人たちなの?」
クレアが真剣に聞いてくるのでそこで私は気づいた。
基本的に私はプレイヤーであって私目線で話が進んでいく。
そのキャラは、一般人で魔力の強い人物だったりするのだが、そういえばこのキャラこの世界に存在するのだろうか?
いるならその人物を連れてきて修正した方が良いけれど、はたして実在するのか。
そのキャラの住んでいる家も後で確認しないといけない。
もしいないならば一人二役にするか……。
「クレア、聞いていい?」
「何?」
「どんな男に興味がある?」
途端クレアが噴出した。
しかも顔を真っ赤にして、
「な、なんでそんな、突然」
「乙女ゲームって、私たちの世界では【恋愛ゲーム】なの」
「そ、そうなんだ……わ、私の恋愛も描かれているの?」
「うん」
「……ち、ちなみにどんな人?」
どうやら興味があるらしいクレアが私に聞いてくるが、実の所、
「クレアの相手も幾つかルートがあって選べるわよ?」
「え? それは……」
「結果としてハッピーエンドルートに進む際に、恋人同士になる相手がいる。一応友情エンドもあるけれど、リクエストがあるなら聞いておくわ」
そう聞くとクレアは迷ったように口をもごもごさせてから、
「ゆ、友情エンドが良い」
「どうして? 今なら【理想の相手】と深い絆が出来る機会だけれど」
「……好きな相手は、そう言ったものではなくてもっと……自分の手で手に入れたい」
「なるほど、ロマンチストね」
「そ、そういうわけでは……」
焦るクレアを見ながら私は他人の恋バナは楽しいなと思いながら、
「分かったわ。そっちルートでいく。でももしも気に入った人がいたらお手伝いするからいつでも言ってね」
「……ええ、そうさせてもらうわ」
「それともしかしたらもう一人仲間に引き入れることになるかも」
「? そうなの?」
「ええ、この乙女ゲームの【主人公】なのだけれど、ここまで現れていないともしかしたらこの世界には【実在】していないかもしれない」
そう話して、明日は朝が早いからと私達はその日は早めに眠ったのだった。
後書き
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