象の優しさ
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第一章
象の優しさ
ダリック=キッドマンカナダからタイに象の飼育員として来た彼は黒髪の陽気そうな男性である、彼はカナーラという雌の若い像を勤務している象の保護施設エレファントネイチャーパークに連れて来て同僚達に話した。
「この娘も大変でしたけれど」
「もうここに入ったらですね」
「大丈夫ですね」
「はい、タイは象を大事にしますね」
タイ人の同僚達にこのことも話した。
「そうですね」
「仏教では大事にされていますからね」
「我が国は仏教国で」
「特に白い象はそうです」
「御仏そのものの様に大事にされています」
「象の飼育員としては嬉しい限りです」
笑顔で心から述べた。
「まことに。ではです」
「それならですね」
「これからもですね」
「この娘も他の子も」
「大事にしていきますね」
「そうしていきます」
実際にと話してだ、そのうえで。
ダリックはカナーラを他の象達と同じく大事に育てていった、カナーラも自分を大事にしてくれる彼に懐いた。
その中でだ、ダリックは。
あまりにも暑い日の休憩時間同僚達に話した。
「泳いでいいですか?」
「はい、どうぞ」
「今日は暑いですしね」
「泳いで涼しくなるのもいいですよ」
「そこの川が今流れが穏やかだからどうですか?」
「そうですね、ちょっと泳ぎます」
ダリックも頷いてだった。
水着になって準備体操をしてから川に飛び込んだ、そうして泳いで涼んでいたが。
それを見たカナーラは突然だった。
「パオン!」
「!?どうしたんだカナーラ」
「何かあったのか!?」
「急に騒いでどうしたんだ」
「パオンパオン!」
驚く周りのスタッフ達をよそにだった。
カナーラは川を泳いでいるダリックの方に駆けていって彼に対してだった。
岸辺からその長い鼻を必死に繰り出した。泳いでいるダリックは彼女の鼻を見て目を丸くして言った。
「まさか泳いでいる僕を見て」
「そうみたいですね」
「溺れてると勘違いして」
「それで助けようとしているみたいですね」
カナーラを追って岸辺に集まったスタッフ達もダリックに応えて言った。
「どうやら」
「象は仲間思いですから」
「とても優しい生きものですから」
「そうですね、なら」
ダリックはカナーラの気持ちを汲んでだった。
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