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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百二話 荀彧、帝を甘やかすのことその四

「もうね。褥でのこととか」
「褥!?」
「恐れ多いけれど」
 こうは言ってもだった。
「それでも。帝が私をその御相手に選んで下さったら」
「あの帝はそういう趣味の方なのか?」
「さあ」
「どうかな」
 この辺りはだ。あちらの世界の住人にはわからなかった。
「こっちの世界じゃ俺達の世界よりもそういうことに寛容らしいが」
「だよな。だからか」
「荀彧さんもこんなこと言うのか」
「そうなのか」
「だから。普通じゃない」
 実際にこう荀彧だった。
「女同士でもね」
「他の世界ではどうだったんだよ」
 覇王丸が荀彧に問い返す。
「あんたやっぱり相手は女だけだったのか?」
「ま、まあそれはね」
 そう問われるとだった。弱る荀彧だった。
「こっちの世界じゃ男に触れられるのも嫌だったけれど」
「別の世界じゃ違うんだな」
「だから。中身は色々な世界を行き来できるから」
 この辺りはかなり複雑だった。
「その辺りはこうした時に言うとね」
「難しくなるんだな」
「そう。まあ今は帝国とか祝福は置いておいて」
 実際にだ。話がややこしくなると判断してだった。
「将棋にお酒よね」
「げっ、また王手かよ」
「あんた本当に将棋は大したことないのね」
「っていうかあんた強いな」
「軍師よ、私は」
 だからだとだ。荀彧は言うのだった。
「だからこうしことが強くないとね」
「駄目だよな」
「そう。将棋にしてもね」
 強くなくてはならないというのだ。
「そういうことよ。さて、今度はどうするかしら」
「こうしてやるよ」
 覇王丸はまた手を打った。今度もだった。
 攻める。それを見て荀彧はまた言った。
「あんた、本当に守らないわね」
「俺らしいだろ」
「そういえばあんた剣でもよね」
「ああ、攻める」
 それが覇王丸だった。
「一撃必殺、我流なんだよ」
「将棋も我流ね。荒削りよ」
「それでも弱いか」
「弱いっていうか。だから荒削りよ」
 言いながらだ。荀彧は覇王丸のその攻めに対してきた。
「攻めてばかりでも駄目よ」
「守るのは好きじゃないからな」
「それは時と場合によるから」
 軍師らしくだ。荀彧は言った。
「剣でそれはよくてもね」
「将棋じゃ駄目か?」
「攻めるのもいいけれど守ることも大事よ」
 こう言うのである。
「けれどあんたは守らないわね」
「だから俺の流儀じゃないからな」
「だからなのね」
「ああ、俺は攻める」 
 あくまでそうだというのだ。
「絶対にな」
「まあそれもね」
「いいよな、それで」
「特にないわ」
 荀彧もそれで悪いとは言わなかった。
 それどころかだ。こう言い加える程だった。
「というかあんたがね」
「俺が?」
「積極的じゃなかったら怖いわよ」
 むしろその方がいいというのである。
「何でも攻めないとね」
「やっぱり俺は攻めか」
「かといっても陸遜の言う攻めとか受けじゃないから」
 そうした怪しい話ではないというのだ。
「というかあれが腐女子っていうのよね」
「らしいな。草薙とかの時代だとな」
「わかるけれど趣味じゃないから」
 荀彧にはそうした趣味はなかった。
 
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