猫のきおく
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シーン1
次の日から、みんなが出掛けて、最後にお母さんが俺をベランダの下のところに抱えていって、ダンボール箱を横にしてセーターみたいのを中に敷いて、その横に砂が入った箱と皿に入った少しのご飯とかつお節を置いて行った。「いい子にしているんだよ」と声をかけて出掛けて行った。いったい、いい子とはどういうんだろうと思いながら、俺はダンボールの中でじーっとうずくまっていた。
上の方からカラスがカァカァ叫んでいるが降りてはこない。ずーと寝ていた。目が覚めて、ご飯を食べようと思ったら、空になってきれいになくなっていた。そーなんだと思い、又、眠りについたが、玄関先から「プチプチ」って声がして、男の子が近づいてきた。かける と呼ばれていた。抱きかかえられたが乱暴だ。すずりチャンとちがうんだなぁ・・・。俺の頭を数回なでて、又、下に置いて自分だけ家ん中に入って行ってしまった。確かに、あいつを俺は少し苦手だ。何だか、砂の箱に入って用をたした。砂をかけながら、これは何なんだろう思いつつ・・。
うす暗くなってきた頃、玄関先から声がしてすずりチャンが近寄ってきた。首元には紐みたいに細い紅色のリボン、チェックのスカートをふんわりしながら、やわらかく抱き上げてくれた。この感じがいいんだよな・・・。部屋まで連れて行ってくれて、着替えたあと、俺の首にリボンを巻き付けた。嫌で手で取ろうとしていたら、すずりチャンが「嫌なのかぁー似合わないよね」といってはずしてくれた。わかっているよねー・・・。
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