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レーヴァティン

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第二百一話 関東から戻りその四

「そうなのよね」
「まさにそうだな」
「自分は大丈夫とかね」
「意識をしていない時にだ」
「そうなるわね」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「俺にしてもだ」
「油断しないで」
「備えもだ」
「しておくのね」
「備えあれば憂いなしでだ」
「油断していないと大事にならない」
「そうだな、何でも」
「私だってね」 
 奈央は今度は自分のことを話した。
「鍛錬の前と後はじっくりとね」
「準備体操をするか」
「ええ、毎日の柔軟体操もね」
 準備体操だけでなくというのだ。
「欠かしていないわ」
「そうしているか」
「高見山さんも」
 ハワイ出身の力士である、本名はジェシーといいハワイにいた頃はアメリカンフットボールをしていた。
「土俵に上がる前や稽古の前はね」
「準備体操をか」
「よくしていてね」
「怪我をしなかったか」
「そうだったのよ、それで私も」
「鍛錬の前にはか」
「じっくりとね」
 ただするのではなくというのだ。
「準備体操をね」
「しているか」
「そう、そしてね」
 それでというのだ。
「やっているから」
「怪我もなくだな」
「確かに多少の怪我はあるわよ」
「打ち身等だな」
「けれど靭帯とか腱とか」
「危ない場所はか」
「痛めたことはないから」
 それはないというのだ。
「だからね」
「事前にだな」
「やっておくとそれだけで違うのよ」
 大きな怪我をしにくいというのだ。
「何でもね」
「そして政にもな」
 英雄は強い声で言った。
「そういうことだな」
「油断せず備えしておくことが第一ばい」
 香織は笑って言った。
「簡単に言うとそうばい」
「その通りだな」
「それが基本でたい」
「一番重要だ」
「そういうことたい」
 こう英雄に話した。
「私もそう思うとよ」
「ではな」
「これからもたい」
「油断せずに備えもしておく」
「そうしていくとよ」
「やはりそうなるな、油断していいことはない」 
 英雄の言葉は深く考えるものになっていた。
「何につけてもな」
「そうたいな」
「なら関東の政も今こそだ」
「油断しないたいな」
「一度気を引き締めるか」
 こう香織に返した。
「あらためてな」
「ならどうするたい」
「八幡に参り」
「鎌倉にたいか」
「そのことを誓うか。神や仏に誓えばな」
 それでというのだ。 
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