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レーヴァティン

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第二百一話 関東から戻りその二

「江戸の北にあり」
「栄えさせやすいな」
「はい、あちらも」
「つまり武蔵の北もな」
 埼玉はそちらにある街なのでこう言った。
「栄えさせられるからな」
「だからこそ」
「埼玉も同じだ」
「栄えさせますね」
「必ずな、近畿の街もそうだが」
「関東もですね」
「そうだ、近畿と関東でだ」 
 その両方でというのだ。
「大きな街を幾つももうけ」
「栄えさせていきますね」
「そうする、勿論他の地も同じだ」 
 近畿と関東だけでなくというのだ。
「やはりな」
「多くの豊かな街をもうけ」
「そこから富を生み出していく」
「そして田畑も」
「そちらも忘れない、街も村もあってだ」
 商業の街と農業の村がというのだ。
「両方あってだ」
「国は豊かになる」
「どちらが欠けても不完全だ」
 それでは真の豊かさを得られないというのだ。
「だからだ」
「それ故に」
「両方な」
 街も村もというのだ。
「栄えさせる」
「そうですね」
「そしてそれがだ」
「上手くいっている」
「そう言っていい、だが」
「油断はですね」
「政も油断するとだ」
 そこでというのだ。
「しくじるからな」
「確かに」 
 紅葉もその通りだと頷いた。
「そこからです」
「そうなるな」
「戦と同じで」
「気を抜いたりして油断するとな」
「そこで失敗しますね」
「そういうものだ、だからだ」 
 英雄は強い声で言った。
「上手くいっていてもな」
「気を抜くことはしないことですね」
「絶対にな、俺もこれまでだ」
 自分自身もとだ、英雄は言った。それはどうしてもと言うのだった。そこには過去を悔やむ色があった。
「それでだ」
「失敗してきましたね」
「何度もな」
 気を抜いてというのだ。
「そうしたことがどれだけあったか」
「それはです」
 紅葉はやや俯き暗い顔になって述べた。
「どうしてもです」
「誰でもか」
「はい」
 そうだというのだ。
「あることです」
「俺だけではないか」
「人間は神ではないです」
 それ故にというのだ。
「ですから」
「失敗もか」
「あります、気を抜いて」
「わしなんかあれぜよ」
 当季が口を大きく開けて笑って言ってきた。 
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