家族の家に戻って来る栗鼠
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第二章
「もう大丈夫だね」
「そうね」
ブルージットも頷いて答えた。
「アニーは」
「じゃあもうね」
「自然に帰すのね」
「そうするよ」
こう言ってだった、彼はアニーを自然に帰した。実は窓を開けておいてそうして彼女が自然に帰りたい時にそうさせるつもりだった。
その時が来ることを覚悟していた、そして遂にだった。
アニーは窓から出て行った、この時タイラーは笑顔で彼女にさようなら、元気でと言った。
この時彼は笑顔を作った、しかし内心寂しく悲しくもあった。それでブルージットも話を聞いて笑顔でだった。
応えたが彼女も内心寂しかった、それから一週間ずっとアニーが幸せならいいと思いつつも寂しさを感じていた。
だが一週間程経つとだった。ブルージットの休日に。
「キキッ」
「えっ、まさか」
その時二人はリビングにいたが暑いので開けていた窓からだ。
一匹の栗鼠が中に入って来た、その栗鼠は。
「アニーか」
「アニーよね」
「アニー、戻って来たのか」
「チチッ」
それは明らかにアニーだった、見覚えがある姿だった。
アニーも二人のところに来てそしてタイラーの膝の上に来て彼に顔を向けてきた。それで二人は確信した。
「間違いない、アニーだ」
「戻って来たの」
「僕達のことが忘れられないで」
「そうなの」
「チィッ」
アニーは二人に鳴いて応えた、そうしてだった。
この日は二人と一緒に遊んだ、その日は暫くしてまた窓の外に出て彼女に家に戻った様だがこの時からだった。
アニーはよく家に来てマイケルとも遊んだ、そうして家族の一員として暮らしていたが。
タイラーは今は家の中に用意されたアニーの家通販で買った栗鼠のそれに入って寝ている彼女を見ながらブルージットに話した。
「僕に助けられて育てられて」
「そうして絆を感じてよね」
「うちに戻って来てくれているね」
「そうね、嬉しいわね」
「正直家を出た時は悲しかったからね」
アニーが自然に帰った時のことを寂しく思いながら話した。
「だからね」
「私もよ。じゃあ戻ってきてくれた時は」
「そこうして一緒に明るく楽しもう」
「そうしましょう」
二人でこう話してそうしてだった。
アニーを見た、アニーはまるで自分の家にいる様に安心して寝ていた。二人はその彼女を見て自然と笑顔になった。
家族の家に戻って来る栗鼠 完
2021・4・21
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