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とある愚者の転生記

作者:冬夏春秋
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リリカルなのは編
  第十五話 リリカルなのは編 エピローグ

 
前書き
リリカルなのは編の最終話です 

 
 ジュエル・シード事件(俺達の中で一連の流れをこう呼ぶことになった)も決着が付き、海鳴に帰った俺達を迎えたのは、魔法少女となったはやてとなのはちゃんだった………。



「「「「「「「「「ナ、ナンダッテー!?」」」」」」」」」



 どうも、俺達が時の庭園に移動し、色々やっていた頃、「タスケテ」という念話が夜中になのはちゃんへ届いたらしい。
 ちなみにはやての方に届かなかったのは、自宅に張られている認識阻害結界に指向性のない広域念話がはじかれたんだと思われる。
 普通に「なんだろう?」程度にしか思わなかったなのはちゃんは、次の日、はやてのところへ遊びに行き、散歩がてら公園へ2人で行ったらしい。
 で、はやての車椅子を押しつつ公園の遊歩道を散策してたところ、赤と青のきれいな石? を拾った。
 と思ったら、その石がしゃべり出した。

「「マスターになってください!!」」

 2人が事情を聞いたら、前のマスター兼持ち主の友達がバテて小動物に変身して休んでいたところ、野生動物(野良犬かなにかか?)に襲われて食べられちゃったらしい。

 で、それ以降、身に蓄えられた魔力も減っていき、機能停止前に一か八かでSOSを出したら極上の魔力を持った2人が現れた。

 これも運命かと考え、要請を出したとのこと。

 心優しい2人は件の石(インテリジェンス・デバイス)、レイジング・ハートとブレイブ・ハートの話を聞いてマスターになることにした、と。





 前のマスターって「ユーノ」だよね?

 ………俺達の原作介入がこんな余波を与えるとは。
 てか、ブレイブ・ハートってなにさ?

 まぁいいか。こうなったら2人に俺達が魔導師だと説明するしかないか………。
 はやてにイザナミを用意したのが無駄になっちゃったな。

 てなわけで、俺達の仲間にはやてとなのはちゃんが加わった。

 ちなみになのはちゃんは家族に秘密にしたかったみたいだが、却下してなのはちゃんの両親には話した。何かあったときに保護者同士で話しができないと困るしね。

 それから、魔法訓練の時はなのは(呼び方が一段階仲良くなった)も加わるようになった。はやては足が完治するまで座学と見学とイメージトレーニングだけしている。
 そして、そのあふれる才能と努力と根性からなのははぐんぐん実力を伸ばしている。
 近いうちにすぐに抜かれてしまうだろう。
 主人公、ぱねぇッス。



 しばらくして、5月も終わる頃、頼人とはやてが麻帆良へ引っ越して行った。
 色々裏から手を回し、2人の戸籍はいじらず、同姓同名の新しい戸籍を麻帆良に用意したらしい。
 管理局対策の一環とのことだが、裏のことだから事情を詳しく説明されてないし、聞いていない。2人が無事のように保護者sが動いてるのだからその辺は信用した。

 なのはやアリサ、すずかにははやての足の先進治療のためと伝えてある。
 麻帆良の技術力とか考えるとあながち嘘でもない。

 親しい人と離れるのが初めてなんだろう、4人とも泣きじゃくって別れを惜しんでいる。
 俺と頼人?
 しばらくすれば俺の方も麻帆良へ引っ越しするんだからさばさばしている。

 あ、なのはがはやてにリボン渡した………。

 ………俺達2人は引きつって顔を見合わせた。





 6月に入り、それとなく八神家を気にしてると使い魔らしき猫の魔法生物がしきりにうろちょろしている。機械的に監視していたのをごまかしているが家の中にも頻繁に入ってるらしい。この辺は忍さん謹製の機械群がごまかされているが、ごまかされていることがわかるらしい。
 ………よくわからない。

 普段は魔力に負荷をかけて魔導師バレをされにくくするように気をつけることにした。  

 そんな日々が続き、夏休みも近づく7月半ば、海鳴海浜公園で結界を張り魔法の訓練をしている時だった。

 いきなり現れた転移魔法陣。そして、

「ストップだ! 時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。この場でこれ以上の戦闘は危険だ。大人しくこちらの指示に従ってもらおう」
 と、クロノが現れた!!

 ポカーン。

 なのはもアリサもすずかも時空管理局なんて知っていない、多分。あるいはデバイスが個別に教えているかも知れないが。
 呆けた後に気を取り直したのか、突然現れ、訓練中にわけのわからないことを言い出した男の子から離れるように、3人は俺の後ろに集まってくる。

 うん、しょうがないけどぐいぐい前に押し出さないでくれ。

 ここでみんなで転移して逃げ出したら面白いだろうなぁ、と思いつつ、

「あのぉ、どちらさま?」
と、友好的?に俺は訊ねた。

「時空管理局の執務官だと言っている! わからないのか!!」
「いや、そんなこと言われても………。知ってる?」
 高飛車に問われて、後ろの3人に訊ねても当然首を振るばかり。

「すみません、誰もわからないみたいなんですけど」
「何を言っている! 魔法を使ってて管理局を知らないわけないだろう」
「いや、知らないです」
「嘘を言うな!」

 うわぁ。叫ぶと同時にバインドかけられちゃったよ。

 とりあえず、拘束されるいわれはないのでかけられたバインドを壊す。
 実は、バインドを壊すのは得意なのです。というか、得意にならないとバインドからの集束砲をなのはさんから撃たれるので、必死で得意になりました。まぁ、一点に魔力をしぼって壊すだけなのですが。

「なっ、歯向かうのか!」
 バインドを壊したら怒り出しました。

「これ以上逆らうなら………」

 あれ、なんか攻撃態勢に入ろうとしている?
 逃げた方が良いのか?

「止めなさい、クロノ執務官!」
 ポワンっとクロノ執務官の前に何かが出現し、女性の声がかかる。

「しかし、かあ、艦長!」
「止めなさい。これは艦長命令です」
 そう声をかけると、出現した何かがくるりと回り、モニター画面らしき物に緑色の髪をポニーテールで纏めている女性が映っており、こちらに声がかかる。

「こちらの執務官が失礼しました。詳しい話はアースラで聞きましょう。クロノ執務官、案内してくれるかしら」
「艦長………。わかりました。案内するから付いてきて欲しい。」

「えっ。嫌です。」
 いきなり嘘つき呼ばわりされて、拘束されて、付いて来いと言われて付いて行く人っていないよね。

 しーん、となる周囲。

「貴様!」
「黙りなさい、クロノ。理由を聞かせてくれるかしら」

「魔法の訓練中にイキナリ危険呼ばわりされて割って入られ、嘘つき呼ばわりされて、拘束されて、拘束を破ると攻撃されかかり、知らないところへ付いて来いと言われて、付いて行く理由があるんでしょうか?」

 またもやしーん、となってしまう。
 べ、別におかしなこと言ってないよね?

「じゃぁ、俺達は帰りますんで。行こう、みんな」
 帰ろうとすると、モニター画面が目の前に現れる。

「待ってください。こちらの非礼は謝りますので話しを聞かせてください」
 むぅ。後ろからみんなが「いいの?」という感じで袖を引っ張るし、この辺が落としどころか。

「わかりました。『ここ』で『貴女』とだけなら話し合いに応じましょう」

「貴様ぁ!」
 クロノは怒っているけどキニシナーイ。

「はぁ。わかりました。クロノ執務官は戻りなさい。私が行きます」
「な。わかりました、艦長。」
 きっ、とこちらを一睨みしてからクロノは転移して行く。
 その後、すぐに先程のモニター画面に映った女性が転移してくる。



 リンディ・ハロオウンと名乗ったその女性は、先程のクロノ執務官の母親で次元航行艦アースラの艦長だそうだ。………知っていたけど。

 話しをまとめると、ジュエル・シードを探しに来たところ、魔導師がいない管理外世界で、魔導師が結界を張って戦闘していた。ジュエル・シード絡みの戦闘かと判断し、介入して事情を聞こうとした。何故魔法が使えるのか、ジュエル・シードについて知らないか教えて欲しい、とのこと。

 ふむ。どこまで話すべきか。

「管理世界・管理外世界なんていう区別も知らなければ、管理局という組織も聞いたことがない。その上でいきなり練習中に言いがかりをつけるように介入されて、正直に答えたら拘束するような人間がいる組織に答える必要を感じませんが、艦長が出てくる誠意に答えて質問に答えましょう」

 あっ、リンディ艦長、笑顔を崩さないけど口元がヒクヒクしているな。

「魔法に関してはこの世界には秘匿されていますが存在します。その上で3ヶ月以上も前にそちらのいうジュエル・シードは21個現れ、封印は完了しました。ただし、そちらは大魔導師と名乗る人物に契約を交わし、全て渡したので手元にありません。その一部としてデバイスはもらいました。ただ、彼女(なのは)は別口でデバイスを拾いました」
 嘘は言っていない。

「危険なロストロギアというのを知っていて渡したのですか!」
「えぇ。説明は大魔導師に聞いています。だから、自分達で持っているのを危険だと判断したので渡しましたがいけませんでしたか?」
「ロストロギアの譲渡売買は管理法で禁止されています」
「そんなことは聞いたことがない管理外世界の人間にもその法は適用されるんですか?」
「………。大魔導師には適用されます」
「じゃぁ、大魔導師はがんばって捕まえてください」
 にこやかに答えたら、リンディ艦長の笑顔が怖くなった。わかったから、3人とも袖を引っ張らないで。

「情報提供をお願いします」
「そんな義務は………、わかりました。そんな怖い顔をしないでください。契約書のコピーを渡すのとアルハザードに向かうと言っていました。」

「契約書のコピーをとるので付いて来てください」
「コピーならこちらでとりますよ」
「そちらのアースラでですか。そちらに行くつもりないですし、契約書を渡すつもりもありません。これでダメならコピーも渡しませんが?」
「………、わかりました」
 まぁ、法の守護者とか言ってるならこちらに従うしかないわな。だが、これにはもう1つワケがあるのですよ。



 コンビニにコピーをしに歩いて行く途中、皆に接触念話で「八神家の前を通るけど、頼人とはやてに迷惑がかかるから2人がどこ行ったかとか知らない振りをして顔に出さないで」と頼んでおく。

 レイジング・ハートの件は、なのはに渡った経緯などのログをレイジング・ハートが丸ごとデータとして渡している。レイジング・ハートが主と認めているのだから問題は無いだろう。

 で、八神家の前でリンディ艦長に
「ここに地球の魔法とは別種の認識阻害の魔法がかかっているんですが、心当たりはありませんか?」
 とついでのように話しかける。これが本命なんだけどね。

 ひとしきり、一人で調べたリンディ艦長は顔を少し青ざめて改めてモニターを空間に出し、調査の指示をアースラのクルーに出している。

「これはいつから………」
「さぁ? 少なくとも俺が引っ越してきた1年くらい前からは確実に。なにかわかりました?」
「………いえ。詳しく調べないとなんとも………」
 歯切れの悪い返事ですね。まぁ、素性を考えれば当たり前か。
「住人はもういないようなので、わかることがあれば教えてください」
「はい………」

 その後、契約書のコピーを渡し、リンディ艦長とは連絡先を交わし別れた。

 その日の夜、野比家・月村家・バニングス家・高町家の保護者と子供達が集まった上で全て説明した。
 危ないことするな、と怒られた。したくてしたわけではないのに理不尽だ、と思ったら正座で説教が追加されてしまった………。

 後は、保護者が交渉することになった。

 一度、時の庭園に保護者立ち会いの下査察があったようだが、アルハザード関連のデータを持ち出された以外問題なかったようだ。
 ………傀儡兵とかには気付かれなかったようだ。上手く忍さんとリニスが隠したッポイ。

 その後、八神家付近に猫の使い魔は見なくなった。



 夏休みも冬休みも、なのは達3人と連れだって麻帆良に遊びに行った。頼人もはやても新しい友達ができて元気に暮らしているようだ。
 冬休みの時には、はやても歩けるようになっていた。
 笑ってなのは達に駆け寄ってきたはやてに少し泣けた。 
 

 
後書き
リリカルなのは編終了です。
なのははレイハさんを拾い、魔砲少女になりました。レイハさん達は内蔵魔力が切れる寸前で必死だったと思ってください。
なのはが管理局入りするかははやて共々未定です。
グレアム氏がどうなるかはアースラ組の調査次第です。闇の書による被害は出てないですしね。管理局的には闇の書もはやても行方不明ですし。
最後に長くなったのは、アースラ組へちょっとだけでも伝手を構築しときたかったからです。
 
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