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レーヴァティン

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第百九十九話 関東の政その四

「今もな」
「そうした年配の人は多いな」
「納豆についてはな」
「甘納豆が納豆と言う人もいる」
「そうそう、納豆っていうたらな」
「お菓子だと思っている」
「ところてんと同じでな」
 関西のところてんは黒蜜で食べるのに対して他の地域では酢で食べる。これは関西のところてんが葛切りの代用だからである。
「そやな」
「ところてんは酢で食べた人が腐っていると言ったな」
「俳優の藤田まことさんやな」
 時代劇等で活躍した名優であった、歌唱力も備えていた。
「あの人東京生まれやけどな」
「育ちもお家も大阪でな」
「もう食文化も関西でや」
「それでだったな」
「ところてんは甘いもんやった」
 藤田まことさんの認識ではそうであったのだ、まさに関西人のそれである。そしてこの黒蜜のところてんが実に美味い。
「それで酢のを食べてや」
「そうだったな」
「それで納豆もや」
「年配の人は食べないな」
「もう腐ってるって言うて」 
 こう言う人が実際に関西では多かった。
「食べもんやないとまでな」
「言う人がいたな」
「今の四十代の人でもおるか」
「関西ではな」
「それがし達は食うけどな」
「癖が強い食いものだ」
 その点では世界的にもかなりだという。
「だからな」
「好き嫌いも分かれるしな」
「馴染みがなかった関西ではな」
「特にやな」
「そうだな、しかし美味いことは事実だ」
 英雄は言い切った。
「俺も関西で生まれ育っているが」
「納豆も好きでな」
「よく食う、だから常陸でもな」
 この国でもというのだ。
「食う」
「実は拙者の父方の祖父殿が大嫌いで」
 智が言ってきた。
「今もでござる」
「食わないか」
「周りに食するなとまでは言わないでござるが」
「嫌な顔をするか」
「そうでござる」
 そうしているというのだ。
「嫌いなものの中に明記する程でござる」
「そうした人は今もいるな」
「関西には」
「今話したがまさにその通りだな」
「しかし拙者はでござる」
「納豆も食うか」
「ご飯にかけてもおうどんに絡めても好きでござる」
 こう英雄に話した。
「実に」
「うどんに絡めて醤油をかけて混ぜるか」
「これが絶品でござる」
「そうか、今度俺もしてみる」
「あとキムチと混ぜてご飯にかけてもでござる」
 この食べ方もというのだ。
「いいでござる」
「そうなのか」
「あと納豆巻きも好きで」
 寿司のこれもというのだ。
「よく食べるでござる」
「納豆好きか」
「左様でござる」
 実際にとだ、智は答えた。 
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