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レーヴァティン

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第百九十七話 小田原入城その二

「実に」
「左様ですね」
「噂通りのものはあります」
「駿河の茶はよく知られているだけに」
「実に美味いですね」
「これは幾らでも飲める」
 駿河の茶についてこうも言った。
「まさにな」
「左様ですね」
「実にいい茶です」
「あまりにも美味いので」
「幾らでも飲めます」
「差し入れをするか」
 英雄はここでふと思って述べた。
「そうするか」
「差し入れ?」
「差し入れといいますと」
「それはどなたにでしょうか」
「一体」
「城にだ」
 そこにというのだ。
「小田原のな」
「敵ですが」
「それでもですか」
「差し入れますか」
「そうしますか」
「そうする、城の主な者達にな」
 こう将帥達に話した。
「それも文を添えてだ」
「上様ご自身の」
「その文をですか」
「添えてですか」
「そのうえで差し出されますか」
「そうする、文は実際に俺が書いてだ」
 そうしてというのだ。
「印も押す、そこに降ればだ」
「幕府にですか」
「そうすればですか」
「どうなるかも書かれますか」
「そうする、こうした美味い茶が常に飲めるとな」
 その様にというのだ。
「所領もそのままでな」
「降ればですか」
「そうなると」
「そう文に書いて」
「そして送るのですか」
「茶だけでなくな」
 文も添えてというのだ。
「そうする」
「左様ですか」
「ではそうされてですね」
「茶を差し出され」
「降ることも促されますか」
「そうするとしよう、相模が手に入れば」
 そうなればというのだ。
「大きいな、特に港がな」
「横浜の港は大きいです」
「実に見事な港です」
「横須賀もありますし」
「相模は良港の国でもあります」
「横浜は商いの港とし川崎にはでは工業をよくし」
 英雄は相模の政についても話した。
「横須賀には水軍を置く」
「江戸湾と共にですね」
「そちらにも水軍の港を置き」
「そうして多くの船を揃えますね」
「そうする、では茶を差し出そう」
 こう言ってだった。
 英雄は相模の主達即ち小田原城の主達に茶と文を差し入れた、すると数日経って小田原城の主達から返事が来た。 
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