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レーヴァティン

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第百九十六話 鎌倉入りその九

「だからだ」
「疑わせるだけでもいい」
「そしてそれを徐々に深めさせる」
「そうしていきますね」
「そして城の中を乱してだ」
 そのうえでというのだ。
「戦えなくしてな」
「そうしてですね」
「そこで使者を送り」
「そうして降す」
「そうしますね」
「こうすれば楽だ、兵で攻めてもだ」
 例え大砲や術等を多く使ってもというのだ。
「どうしても犠牲が出る、また銭もかかるな」
「ただ兵を動かすだけでもかなりかかります」
「この度の関東攻めでもそうです」
「銭はかなり使っています」
「既に」
「軍勢を動かすだけでそうだ、まして戦をすればな」
 それをすればどうなるかもだ、英雄は話した。
「尚更だ」
「銭がかかる」
「そうなるからですね」
「戦はそうした面からも避けたいですね」
「どうしても」
「そしてどれだけ数といい武具を揃えても敗れる時もある」 
 その場合もあるというのだ。
「戦に絶対はない」
「それもそうですね」
「戦ではそうですね」
「絶対のことはないので」
「どれだけ優勢でも敗れますね」
「その可能性はありますね」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「俺としてはだ」
「戦わずして勝つ」
「それを最善とされますね」
「そして常にそれを目指されていますね」
「この戦でも」
「そうだ、では俺達も美味いものを食い」
 そしてというのだ。
「美味い酒もだ」
「飲むのですね」
「そして女や男も楽しむ」
「そうもしますね」
「歌舞もな」
 こちらもというのだ。
「そうしろ、そして歌舞の声はだ」
「大きくしますね」
「城に聞こえる様に」
「そうしていきますね」
「そうする、俺も歌舞伎や能を観る」
 こうしたものをというのだ。
「狂言や漫才もな」
「あらゆるものをご覧になられますか」
「そうされますか」
「そうしたものを」
「上様としても」
「そうしたものを観るのも楽しくなってきた」
 だからだというのだ。
「元々観劇は嫌いでなかったしな」
「では役者達を呼び」
「そうしてご覧になられ」
「声は大きくさせる」
「そうされますか」
「そして女もだ」
 これも忘れていなかった。 
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