仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~
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第3部~希望と絶望の宝石~
第22話『新世代、保護する』
互いへの不安が晴れスターズ隊が仲直りしてから数日後、機動六課は久し振りの休日を満喫していた。
「やっぱりここのアイスは美味しいね!」
スバルとティアナは移動販売店のアイスを食べている。すると、スバルは既に食べているある人物に近づく。
「火野さん!どうしてここに?」
スバルが声をかけた相手は映司であった。
「スバルちゃん、お久しぶり。今日はアンクの命日だから、と言ってもアンクはこんな豪華なアイスは好きじゃないけどね。アンクは、普通のアイスキャンディが好きだったから。」
映司と面識のあったスバルはティアナも交えて映司と話を広げる。
その頃、羽入と梨花はあることで話していた。
「梨花、フワラズの勾玉を何処へやったのですか!」
「ああ、あれならセットで指輪に加工して富竹に渡したわ。」
「渡した!?仮にも宝具なのですよ!」
羽入が慌てている原因である宝具、フワラズの勾玉は紅白一対の宝具であり、赤い勾玉の所有者は白い勾玉の所有者を好きになる効力を持った恋愛成就のアイテムである。
「そろそろ鷹野の出所の日でしょ?富竹が鷹野に婚約指輪を渡したいそうだけど、どういうものが喜ばれるのか、私に聞いてきていたから、どうせ埃を被るくらいなら、必要な人に渡した方がいいと思っただけよ。」
「ぁぅぅ…」
梨花の言葉を聞いて羽入が慌てふためいていると、そこに雅がやって来る。
「久し振りだな梨花、羽入。調子はどうだ?」
「あ、お久しぶりなのです、雅。」
「あら、国家象徴様がこんな古ぼけた神社に何の用で?」
雅と羽入は互いに挨拶を交わすが、梨花は嫌味のようなことを言う。
「今のこの『勝ち取った世界』において、初めて渡った世界が梨花達の世界だっただろう。次元保護国が出来て、雛見沢症候群は梨花の女王感染も含めて全て投薬治療で死滅した。鷹野だって、その影響もあってテロ行為の未遂犯として逮捕出来た。」
「それにしても、同じテロ行為に対して雅の方は早く出所出来たわね。」
「僕の場合は模範囚でもあったからね。さ、そろそろ彼女のいる留置所に行くか。」
雅は立ち上がる。
「私はやめておくわ。仕事も忙しいしね。」
「ベルンカステルの短編集、楽しく読ませてもらっているよ。」
「そう言って貰えると作者冥利に尽きるわ。」
梨花はパソコンに向き合う。
「ボクは雅と一緒に行きますです。」
「そう、好きにすればいいわ。いってらっしゃい。」
梨花は無関心そうに言う。
「では、行ってきますです。梨花、ボクがいないからって、お酒は飲まないでほしいです。流石に、人前でいきなり酔っぱらいたくはないです。」
羽入は梨花に念を押して雅と一緒に出かける。
「…何か、嫌な予感がするわね。」
梨花はパソコンの電源を落とすと、圭一達を集める為に外出する。
「富竹さん、お久しぶりです。」
雅は留置所の前で待つ富竹に挨拶をする。
「国家象徴、お久しぶりです。お二人も、三四さんのお迎えを?」
「そうですね。」
富竹の質問に雅が答えると、丁度鷹野が出所する。
「…ジロウさん!?」
鷹野は富竹に抱きつく。
「待っていたよ、三四さん。これから、二人で始めよう。本当の君を、田無美代子としての君を!」
鷹野改め田無は無言で頷く。
「田無さん、ご出所おめでとうございます。」
雅は挨拶をする。
「…あら、国家象徴様がわざわざお出迎えなんて、珍しいわね。」
田無は身構える。
「田無さんには、お世話になりましたので。」
「それは皮肉かしら?」
雅と田無は警戒しあう。
「とりあえず、僕達はこれで失礼するよ。さあ行こう、美代子さん。」
富竹は田無を連れて立ち去る。
「…そう、田無さんがいたから、チームディロードに出逢えたんだ。」
雅は呟く。
「さあ、今日は美代子さんの出所祝いだ。ここで食事をしよう。」
富竹はレストランAGITOΩに田無を連れていく。
「富竹さん…ありがとう!」
田無は富竹の腕に抱きつく。
「喜んでもらえて何よりだよ。さあ、入ろう。」
富竹は扉を開けて店内に入る。
「いらっしゃいませ。お待ちしていましたよ、富竹さん。ささ、どうぞ!」
翔一は富竹達を出迎え、予約席に案内する。
「ありがとう。それじゃあ、頼んでいたコースで。」
「かしこまりました。それでは、お待ちくださいね。」
翔一は愛想良く笑い、料理の準備を始める。
「お待たせしました。翔一シャイニングスペシャルコースです!」
暫くして翔一は富竹達に特別なコースメニューを提供する。
「ありがとう。」
「それでは、ごゆっくりしてくださいね。」
翔一は下がる。
「美代子さん、今日はとても大切な話があるんだ。」
富竹は真剣な眼差しで田無を見る。
「何かしら?」
富竹はフワラズの勾玉を加工した指輪を田無に見せる。
「美代子さん、僕と結婚してください。」
富竹は田無に言葉を贈る。
「ジロウさん…こんな私で、いいの?」
田無は泣き出す。
「勿論だとも。君以外に考えられない。」
富竹は田無の左薬指に指輪をはめる。
「ありがとう、ジロウさん!」
田無は笑顔で返答する。店内はすっかりお祝いムードになるが、突然扉が何かによって破壊されると、店内に複数の水球が放たれる。
「皆さん、こっちに避難してください!」
ウェイトレスの真魚が富竹達を含めて客を非常口から避難させる。
「誰だ!」
翔一は身構える。
「人は、人であればいい。進化の必要など、何処にもない。」
店内に鯨のような見た目の怪人が現れる。
「お前は!?」
翔一はかつて戦った水のエルに近い気配を感じる。
「見つけましたよ、それでは良き終末を。」
その頃、映司の前にも、恐竜のような姿の怪人が現れる。
「行くよ…って、アンクはもういないんだ。」
映司はオーズドライバーを装着し、鳥類のメダルを三枚セットする。
その頃、翔一も謎の怪人の攻撃を避けながらオルタリングを出現させる。
「「変身!」」
〔タカ!クジャク!コンドル! ♪タ~ジャ~ドル~!〕
翔一はアギト バーニングフォームに、映司はオーズ タジャドルコンボに変身する。
「人ならざる者よ、消えるがよい。」
謎の怪人はアギトに対して鯱のような怪人の軍団を出現させてけしかける。
「はぁっ!」
アギトはシャイニングカリバーを出現させてシングルモードに変換して怪人の軍団を撃破してゆく。
「世界は、完成されて初めて価値が生まれます。」
一方、もう一体の謎の怪人もプテラノドンのような怪人の軍団を出現させてオーズに向かわせる。
「コイツらは一体!?」
オーズはタジャスピナーから放たれる火球で怪人の軍団を撃破する。
その頃、ハカランダに集まっていた剣崎達の前にも、ヘラクレスオオカブトとカミキリムシを混ぜ合わせたような姿をした怪人が現れる。
「こいつ、俺と始の気配を感じる。」
剣崎はアンデッドの察知能力が働く。すると、
「まさか、あのベルトは!?」
橘は怪人のベルトを見て驚く。そのベルトは二枚のプレートが組み合わさりスライドして開く機能が備わっていた。
「あれは、トライアルシリーズ!?」
睦月もそれを見て驚く。
「だが、BOARDは既に解体されたはずだ。それに、アンデッドの遺伝子は何処から流出したんだ?」
始の言うように、人類基板史研究所・BOARDは次元保護国が建国される頃には組織が機能しなくなったことで解体されていた。その際に研究データの大半は廃棄処分されている。
「俺が…人々を…マモル!」
謎の怪人は大剣を構える。
「とにかく、こいつを何とかしよう!」
剣崎達は変身し、謎の怪人を迎え撃つ。
「ドクター、新開発のネクストライアルの試験運転に異常は見られません。」
スカリエッティ博士の秘書、ウーノはモニターを観ながら状況を説明する。
「これで、どうだ!」
アギトは謎の怪人の槍をシャイニングカリバーで弾くと、必殺技のバーニングボンバーを謎の怪人に放ち、謎の怪人は爆発を起こしながら倒れ、バックルのプレートが開く。
〔タカ!クジャク!コンドル!ギン!ギン!ギン!ギン!ギガスキャン!〕
オーズタジャスピナーにコアメダルをセットしてスキャンし飛翔。炎を纏いながら突撃するマグナブレイズで謎の怪人を攻撃し、謎の怪人は倒れ、バックルのプレートが開く。
「これなら…」
アギトもオーズも何とか怪人の動きを止めることが出来て一安心するが、謎の怪人、ネクストライアルのバックルのプレートが閉じると二体は再び活動を始める。
ライダー達が戦闘を行っている頃、エリオは地下水道で何かが助けを求める声を察知する。
「キャロ、今地下水道で誰かの声が聞こえた。行こう!」
出かけていたエリオとキャロはそれを中断し、地下水道を降りる。そこには、小学生になっているかも怪しい年齢の童女が脚に重いケースを足枷で着けられながらも歩いていた。
「こんな地下に、女の子!?ティアナさん、スバルさん、A-29地区で身元不明の子供を発見、すぐに応援をお願いします!」
エリオはティアナとスバルを呼び、情報を整理する。
「問題はこの子の脚に着けられたケースの中身よね。」
ティアナは注意深く童女を見る。無理も無い。童女に着けられたケースの中には、起動前のレリックが入っていたからだ。すると、
「みつけた。」
エリオよりやや年上にみえる少女が現れる。しかし、
「あなたは、この間の召喚士!」
少女の正体はホテル アグスタでキャロと交戦した虫を操る召喚士であった。
「なぁルールー、そんな奴ら、さっさと蹴散らしてさっさとお嬢を連れて帰ろうぜ?」
召喚士、ルーテシアに対して小型の融合機デバイス、烈火の拳聖アギトは言う。
「なるべくなら、傷つけることはなく終わらせたい。」
ルーテシアは黒いボディに紫のマフラーを着けた人型の召喚獣、ガリューを召喚する。
「そろそろ、次のステップに進もうか。ディエチ、オットー、出番だ。」
スカリエッティ博士はモニターを観ながら二体の少女に指示を出す。悪意の思惑は、着実に次元保護国を蝕み始めていた。
to be continued.
次回、仮面ライダーディロード
「スマートブレインが倒産!?」
「俺は…オルタディロード!」
「オルタディロードだと!?」
「お名前は?」
「…ヴィヴィオ」
次回『新世代、護る』
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