タイヤのところに
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第一章
タイヤのところに
仕事の途中にだった、アメリカのミシガン州のある街に住んでそこで働いているラルフ=マックシェルは同僚からの話に目を瞬かせた。
「トラックに?」
「そのタイヤにだよ」
同僚はラルフ、薄い褐色の肌で黒い髪と目の痩せた顔の一八二センチ位の背のアフリカ系の彼に話した。
「そこにな」
「猫がいたのか」
「ああ、多分この近くに住んでいる」
「あの猫の子供か」
「多分な」
「じゃあすぐに母親を探そう」
ラルフは同僚に言った。
「そして子猫のところに連れて行こう」
「さもないとな」
「子猫だけじゃ危ない」
生きられないというのだ。
「母親が一緒じゃないと」
「じゃあすぐに母親を探そう」
仕事中でもだった、手の空いている者全員で職場の周りを探したが。
母猫は見付からなかった、それでだった。
ラルフは同僚に困った顔で話した。
「参ったな」
「母親がいないな」
「何処に行ったんだ」
「事故にでも遭ったか」
「それはまずいな」
「子猫は他に三匹見付かったけれどな」
同僚はタイヤのところにいた猫の兄弟と思われる猫達の話をした。
「それでもな」
「あの猫はいないな」
「母親は」
「じゃあ子猫達は保護しないとな」
ラルフは同僚の話を聞いて言った、見れば。
タイヤにしがみついていた子猫身体の上は黒の虎毛で下は白い雄の子猫はまだトラックのタイヤのところにいる、あどけない顔で身体は小さい。
「あの子も」
「そうだな、四匹共な」
「あの子は俺が引き取るよ」
ラルフは同僚に話した。
「あのままじゃ放っておけないからな」
「だからだな」
「そうするな」
こう同僚に話した。
「さっき奥さんにあの姿スマホに写して画像送ったらな」
「何て言っていた」
「すぐにうちで飼おうってな」
「言ってくれたんだな」
「だからうちで引き取ってな」
そうしてというのだ。
「育てるな」
「わかった、ただお前の家はもう猫と犬がいるな」
「十九歳のと二歳のがな」
「じゃあこの子達が俺が引き取るな」
同僚はその三匹の子猫について話した。
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