| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百九十四話 江戸の街と城その八

「備えはしておくことだ」
「あらゆることにな」
「そして雷にもだ」
 これに対してもというのだ。
「そうする」
「そういうことだな」
「しかし」
 ここで言ったのは紅葉だった。
「江戸の街は凄いですね」
「そうだな、上から見るとだ」
 英雄は紅葉の言葉に応えて城下町を見下ろして述べた。
「かなりのものだな」
「そうですね」
「何十万もの民がいてだ」
「商いも賑わっていますね」
「そして漁業もな」
 これもというのだ。
「栄えているな」
「実に」
「いい街だ、俺達が前に来た時よりもな」
「さらにですね」
「よくなっている、だが」
 ここでだ、英雄はこう言った。
「家は木造が殆どの様だな」
「そして避難所もですね」
「少ない、これはだ」
「変えないと駄目だね」
 桜子、江戸にいた彼女が言ってきた。
「あたしがいた時から思っていたけれど」
「火事にだな」
「弱いんだよ、この街は」
「若し火事が起こればな」
「本当に街を焼き尽くすよ」
 そこまでの大火になるというのだ。
「そしてね」
「そのうえでだな」
「沢山の人と建物が焼けてね」 
 そしてというのだ。
「大変なことになるよ」
「そうだね、だからだね」
「家は建て替えていく」
「完全な木造からだね」
「瓦で石の壁のだ」
「燃えにくい石にしてね」
「道もだ」
 家と家の間のそれのというのだ。
「広くする、そして避難所もだ」
「もうけていくね」
「そうする、それと火消しのな」
「組もだね」
「より増やすか」
 所謂消防にあたる者達もというのだ。
「そして万が一の状況になってもな」
「大丈夫な様にするね」
「被害は最低限になる様にする」
「それがいいね、そして堀や川に水が一杯あるんだ」
 それでとだ、桜子はさらに話した。
「それもね」
「いざという時にはだな」
「使える様にな」
 その様にというのだ。
「していくか」
「それがいいね」 
 桜子は英雄の言葉をよしとした。
「火にはやっぱりだよ」
「水だな」
「もうそれをかけたらね」
「多少の火なら消えるしな」
「大雨でも降らせたら」
「鎮火する」
「術を使える奴も置くべきだよ」
 英雄にこうも話した。
「それで水の術でね」
「火を消すか」
「火消しの組に入れてね」
 そうしてというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧