ボヘミア王
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第二章
「だからあの王冠もな」
「被られませんか」
「そもそもな、そしてまた言うが迷信だ」
「では」
「若し私がその機会を得たならだ」
ボヘミア王の王冠を被る時が来たならというのだ。
「被ってみせよう、そしてだ」
「この話が迷信であることをですか」
「見せよう」
口の端をにやりと笑って言ってみせた、そうして仕事に戻った。彼にはやるべきことが多くそれを全て確実に進めていっていた。
やがてヒトラーは統治が上手くいっていないベーメンつまりボヘミアの副総督実質的な総督の座にハイドリヒを任命した、ハイドリヒは彼等が言うベーメンに入るとすぐに言った。
「この地のことはわかっている」
「既にですか」
「そうなのですか」
「すぐに中産階級出身のインテリ共、何かとナチスに反対している連中を捕まえて即座に銃殺にしていくのだ」
自分の部下になった者達に冷然とかつ平然と告げた。
「いいな、罪状は気にすることはない」
「そうした者ならですか」
「躊躇せず捕え」
「そしてですか」
「処刑していいのですか」
「即座にな、ただ労働者達はサポタージュ等については煽られているだけだ」
そのインテリゲンチャ達にというのだ。
「だからいい」
「処刑せずとも」
「そうしてもですか」
「彼等の陳情は聞く、そして毎日にでも彼等の代表と会おう」
労働者達とはというのだ。
「そうする、いいな」
「インテリは始末してですか」
「労働者達は厚く遇する」
「そうしますか」
「我等は何だ」
ハイドリヒは自分の命令を受けた部下達に問うた。
「我々の政党は」
「ドイツ国家社会主義労働者党です」
部下の一人が答えた。
「左様です」
「そうだ、社会主義であり労働者の政党だ」
「それならですか」
「労働者を厚く遇する、そうだからこそだ」
「彼等にはそうしますか」
「そしてあれこれ言うインテリ達はだ」
ナチスに反対する彼等はというのだ。
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