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オズの木挽きの馬

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第十二幕その九

「戦ってきた」
「それであのお強さだったんですね」
「拙者は強いか」
「とても。槍捌きも」
「槍は一番得意だが」
 武芸の中でというのです。
「あれはよい武芸だ」
「剣道よりもですか」
「間合いがあるからな」
 それでというのです。
「よく鍛錬して」
「戦いでもですか」
「使った、大助にも教えている」
「父上の槍は天下一本でして」
 大助さんも幸村さんのその槍についてお話します。
「凄いものがあります」
「やっぱりそうなんですね」
「はい、今も鍛錬に励まれていますし」
「腕を上げられていますか」
「そうなっています、それに水練に馬術も」
 この二つの武芸もというのです。
「日々励んでおられます」
「そちらもですか」
「いざという時に泳げない馬に乗れぬのでは話にならぬので」
 幸村さんは言いました。
「それ故に」
「水練に馬術はですか」
「槍術以上に励んでおります」
「そうですか」
「毎日泳ぎ馬に乗り」
 そうしてというのです。
「鍛錬を積んでおります」
「そうですか」
「あと近頃は車を運転したり」
 自動車をというのです。
「自転車にも乗っています」
「あれっ、結構文明的だね」
 木挽きの馬はここまで聞いて言いました。
「幸村さん達も」
「うむ、オズの国の中にいて」
「そうしたこともなんだ」
「親しんでいる」
「そうなったんだね」
「テレビも観るしスマホも持っている」
 幸村さんは木挽きの馬に微笑んで言いました。
「楽しんでいますぞ」
「本当に文明的だね」
「最初は箱の中の絵が動くと驚きました」
「そうそう、テレビってね」
 木挽きの馬も頷きます。
「最初見たらね」
「箱の中の絵が動きますな」
「喋ってね」
「これは何かと思いました」
「僕も最初そうだったよ」
「木挽きの馬殿もですな」
「実に。ただ」
 ここでこう言った木挽きの馬でした。
「昔のテレビって今のテレビとはね」
「ああ、違っていましたな」
「テレビも時代によって変わるよ」
「その様ですな」
「オズの国のテレビは最初からカラーだったけれどね」
 それでもというのです。
「やっぱりね」
「時代と共にですな」
「変わっているよ」
「そういえば外の世界のテレビは最初白黒で」  
 恵梨香も言いました。
「それで真空管でね」
「何か中々画面が出なかったんだよね」
「私そう聞いてるわ」
 恵梨香は木挽きの馬に答えました。
「昔のテレビはね」
「外の世界はそうだね」
「ええ、それがオズの国では」
「テレビはそうだったよ」
「そこはオズの国ね」
「そうなんだ」
 木挽きの馬も答えました。 
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