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レーヴァティン

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第百九十話 空からの急襲その一

                第百九十話  空からの急襲
 久志は仲間達そして主な将帥達と馬に乗ったまま軍議を開いた、そこで彼はすぐにこう言ったのだった。
「俺は兵になっていても民とは戦いたくないんだよ」
「それは大抵の人がそうね」
 留奈が答えた。
「今のあの軍勢は誰がどう見てもね」
「民だからな」
「殆ど着のみ着のままじゃない」 
 その女子供達を見て言った。
「誰がどう見てもよ」
「民だな」
「そうよ、民に刃を向けるのはね」
「戦じゃないよな」
「一揆の鎮圧ならともかく」
「こうした場合はな」
 久志も彼等を見て留奈に答えた。
「どう見ても民だからな」
「出来るだけ戦えないわね」
「ああ、出来たらな」
「ここは戦なくね」
「街を手に入れたいな」
 久志の今の言葉は切実なものだった。
「本当にな」
「そうね、じゃあね」
「ああ、これからどうして戦わずに戦を終わらせるか」
「それをするのね」
「今からな、しかし敵の数はな」
「百万はいますね」
 順一が言ってきた。
「優に」
「その百万の軍勢とな」
「どうして戦わずに済むか」
「そのことを考えるとな」
「かなり難しいです」
 順一は率直に述べた。
「これは」
「そうだよな」
「ああ、どうすべきか」
「それですね」
「そうだな」
 久志は馬上で腕を組んで言った。
「敵を眠らせるか」
「百万の軍勢をですか」
「そうするか?」
 こう順一に述べた。
「ここは」
「あの、それはです」
 順一はすぐに難しい顔で答えた。
「幾ら何でも」
「無理か」
「民達は戦を知らず術にも弱いですが」
 そちらへの耐性は極めて低いというのだ。
「ですが」
「それでも数が多いな」
「百万以上の者を一度に眠らせるなぞ」
 それこそというのだ。
「不可能です」
「やっぱりそうか」
「はい、それはです」
 どうしてもというのだ。
「出来るものではありません」
「帝国軍の眠らせる術を使える奴を総動員しても」
「不可能です」
「俺達が出てもだな」
「はい」
 まさにというのだ。
「このことは」
「そうだよな」
「他の術を使っても」
 今度は源三が言った。
「動きを止める」
「左様ですね」
「そうです、ですから」
 それでというのだ。 
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