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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Saga19-C本局襲撃~7th wave~

†††Sideアリサ†††

第11トレーニングルームでアーサーを待ち構えてたあたしとシグナムとアギト、そしてクラリスの4人は、クラリスが召喚したグリフォン(名前はグリーちゃん)の背に乗って、アーサーが現れた場所、拘置所エリアに向かってオフィス街を突っ切ってる最中。翼があるグリーちゃんの移動速度はあたしやシグナムの飛行速度より速いから、そんなに時間は掛からないはずよ。

「まさか保管室じゃなくて拘置所に現れるなんて・・・!」

「ああ。しかも狙いが魔導犯罪者の魔力とはな」

「だけどわざわざ脱獄させなくても良いじゃんかよ」

「地上本部でこれまでやってきたように、今度は脱獄犯も交えての陽動なんだろうね。魔導犯罪者はT.C.が狩って、魔力未保有の一般犯罪者は局員に丸投げ。ムカつく」

「そうね。現にあたし達はみんなの居る場所から離れて行ってる。アーサーも個人で転移できるみたいだし、あたし達を引き離したところで保管室ってなったらシャレになんないわよ」

「だからと言って行かないわけにはいくまい」

「ジレンマ」

クラリスのその一言があたし達の今の状況を的確に表してるわね。でも動かないことには何も変わらない。だからこうして罠に飛び込む覚悟で拘置所エリアへ向かっている。数分とせずに目的地に近付いたところで、グリーちゃんの行く手の先で騒ぎが起こっているのが見えた。

「あ、猫だぜ! 囚人服着た何人かに群がってる!」

「でも魔導局員には1匹も向かって行ってないわね」

局員からの魔法は吸収してるけど、直接触れて吸収するような真似はしてないっぽいわね。あたし達も参戦するかどうか迷ってると、「皆さんは幹部をお願いします!」って、あたし達の接近に気付いた局員の1人がある方角に向かって指を差した。その局員に続いて「猫と脱獄犯は、我々で対処します!」とか「ここはお任せを!」とか、みんなが同じ方を指差した。

「クラリス! このまま向かうわよ!」

「いいの?」

「問題ない。局員の実力ならお前も知っているだろう、クラリス」

「確かに。それじゃあこのまま行こう」

グリーちゃんの上からだけど局員たちに敬礼をしながらあたし達は通り過ぎ、指が差された方へと向かう。クラリスの指示でグリーちゃんを空に上げさせれば、あちこちで似たような騒ぎが起きてるのが判るようになった。それに「居た! アーサー!」の姿もバッチリ視認できた。

「グリーちゃん。あそこで1人で突っ立ってる奴に突撃」

クラリスがそう指示を出すと、グリーちゃんは一鳴きして、翼を羽ばたかせて突撃を開始。クラリスが「降りるよ」って言って背中から飛び立ったから、あたし、アギトと「ユニゾン・イン!」を果たしたシグナムも続いて背中から飛び立つ。グリーちゃんはその大きな嘴を開けて、アーサーへの突撃を続行。

「あぁ来たな。待っていたぞ。とりあえず、グリフォンを墜とすところからか」

アーサーの全身からバチバチと放電。グリーちゃんが迎撃されるわけにはいかない。ヴァラーフォームで起動してある“フレイムアイズ”の、銃身の有る二刃の大剣レフトブレードをアーサーへと向けて、「プロミネンスウィップ!」を発射。本来の使い方は鞭のように薙ぎ払っての広域斬撃なんだけど、レーザーのような砲撃として発射することも出来る。

「雷放陣!」

放電量をさらに増加させたアーサーに着弾しようかというところで、「砲撃が・・・!」掻き消された。それを見てクラリスが「突撃中止! 逃げて!」ってグリーちゃんに叫んでの指示。グリーちゃんは大きく羽ばたいて直角に急上昇することで、アーサーの放電から逃れた。そんなグリーちゃんの巨体を隠れ蓑にしてアーサーに接近を試みていたシグナムは、“レヴァンティン”のカートリッジをロードして刀身に炎を纏わせた。

「『紫電一閃!』」

グリーちゃんが回避行動に入ったのがアーサーの直前だってこともあって、シグナムはそれほど難しくなくアーサーの目の前にまで近付けた。すでに攻撃態勢に入ってるシグナムと、後退するために膝を曲げようとしてるアーサーが最接近。

「来い、トテック!」

「新たな召喚獣か・・・!」

「何アレ・・・!」

アーサーの背後からスゥっと音もなく現れたのは、丈が2mくらいはある大きな襟を立てたマントと、本来顔があるべき箇所に浮かぶ羅針盤(針の部分が目のマークになってるわね)っていう妙な何か。開かれたマントの裏地に描かれた、発光してる幾何学模様からは半透明の両腕が伸びていて、“レヴァンティン”の一撃を右の手の甲で受け止めて、左拳でのストレートでシグナムを迎撃。

「っく・・・!」

しゃがみ込むことで躱したシグナムへの追撃は両手のチョップ。もちろんそれを黙って見てるつもりのないあたしとクラリスは、地面を蹴って突っ込む。あたしは左腕に向かってソードブレイカー状の大剣ライトブレードを振るい、クラリスは右腕に向かって方天戟を振るった。

(うわっ、なにこの手応え・・・)

お餅のような柔らかさと堅さのある半透明な腕。純粋物理じゃきっと斬り落とせないわね。なら「火炎砲で吹っ飛ばす!」レフトブレードの銃口を向けようとしたら、トテック(っていう名前らしいわね)は両腕を消失させた上でマントでアーサーを包んで空高く舞い上がった。

「「逃がさない!」」「逃がさん!」

あたしはレフトブレードの銃口を向け、シグナムとクラリスは直接攻撃するために一気に距離を詰めてく。2人の動きを先読みして、トリガーに指を掛ける。

「もうすでに察していると思うが、俺の仕事は犯罪者から魔力を吸収すること、犯罪者を脱獄させて陽動役に利用すること。そして、お前たちを俺に引き付けることだ!」

――獣界――

「「「っ!?」」」

アーサーから発せられた強烈な閃光に思わず顔を背けて目を閉じる。まぶたの裏から光が収まったことが判って目を開けてみれば、本局のオフィス街とはかけ離れたサバンナが広がっていて、辺りを見回せば丘や山脈に火山、ジャングル、湖などなどが遠くの方にあるのが判る。

「やられた、創世結界だわ」

「アーサーはどこへ・・・?」

「完全に見失ってしまったな」

とりあえずアーサーを探すために空に上がって、どこから探そうかって周囲を飛び回ってると、いきなり火山が噴火。さらに黒い噴煙の中から真っ赤に燃える超巨大なトカゲが這い出てきた。空に居るあたし達に顔を向けるとパカッと口を開けて、ふざけた大きさの火炎球をポンポンポンと吐き出してきた。

「とにかく今は・・・」

「あのトカゲを倒すのが先決か」

「異議なし」

そういうわけで、あたし達はトカゲ(燃えてるしひょっとしてあの有名なサラマンダー?)に向かって飛んだ。

†††Sideアリサ⇒はやて†††

「「ユニゾン・イン!」」

これから転送されてくるプリムスとの戦いのために、私とアインスはユニゾンを果たした。

「主はやて。ご気分はどうですか?」

『全然平気やよ。この感じ、懐かしいな~。闇の書事件以来やね、この逆転ユニゾン』

すずかちゃんがアインスやザフィーラのために用意してくれたガントレットタイプのAI非搭載型アームドデバイスの1基、アインスの“ナハト・リヒト”の効果を十全に発揮させるために、ユニゾンの裏技である主従逆転ユニゾンを行った。

「当時はアウグスタとナハトヴァールの影響で強制でしたが。・・・今は大丈夫なようですが、悪いようでしたら即座にユニゾンを解除しましょう」

『了解や』

“闇の書”事件で実際にやった(とゆうか自然にそうなってしもた)私の体にアインスがユニゾンするんやなくて、アインスの体に私がユニゾンするってゆうあれ。ちょう私に負担があるけど、私もちゃんと内側からいろいろサポートするから、アインス一人分やなくてちゃんと2人分の強さを発揮できる。

『こちらクララ。ルシル、アイリ、はやて、アインス。今から送るよ!』

「はやて、アインス」

「少し待て。カートリッジロード」

アインスの左腕に装着されてる“ナハト・リヒト”のリボルバーシリンダーが機能して、ルシル君の神秘カートリッジを1発ロード。ユニゾンしてアインスの内の居る私にも、魔力が神秘を有したのが判った。

「こちらの準備は整った」

「よし。では作戦通りにいくぞ。・・・クララ。こちらの準備は済んだ。いつでもいい」

『了解! 送るよ!』

アインスの足元にベルカ魔法陣が展開される。そしてアインスと私の2人で「遠き地にて、闇に沈め」って詠唱。ルシル君も“エヴェストルム”のカートリッジをロードして準備OK。そして私たちの前に、プリムスが出現した。映像で見て知ってはおったけど、幻術に優れた魔術師プリムスはホンマに幼い女の子やった。ただ漂う雰囲気は気品に溢れた女性って感じや。

「『デアボリック・エミッション!!』」

転送完了とほぼ同時に発動したのはバリア発生阻害能力のある球形の純粋魔力攻撃。非殺傷設定の無い魔術やから手加減はしたいんやけど、ルシル君から手加減無用って念押しで頼まれたからな、減給・降格などなどを覚悟しての本気の一撃をお見舞いした。

「ルシル。そろそろ効果が切れるぞ」

「了解」

デアボリック・エミッションが薄くなってきたところで、「曙光神の降臨(コード・デリング)!」をルシル君が発動。眩い蒼の光が球状に大きく爆ぜて、デアボリック・エミッションもろともプリムスを飲み込んだ。

――壊滅の幻人(アタケ・デ・ソルダド)――

「「ぐっ!?」」『ふあ!?』

突如として襲ってきたのは、背中を何か硬い物で殴られたかのような衝撃。視界が大きく揺れて、アインスとルシル君が殴り飛ばされたことが見て取れた。そやけど2人は倒れ伏すことなく受け身を取って、床を1回転がった後で片手を突いて跳ね起きた。

『アレが幻術・・・!』

アインス達の後ろに居ったんは見知らぬ男性2人で、手にはハンマーが握られてる。アインス達が立ち上がる中、「いきなりの奇襲とは酷いですわね」なんて言いながら、治まりつつある蒼光から優雅な足取りで出てきたプリムスが嘆息した。

「傷ひとつ負っていないだと・・・!? まさかもう幻術と入れ替わって――」

「いませんわよ。なぜ無傷なのか? 幼子でも解る答えですわ。わたくしの防御力の方が上だからですわ」

肩を竦めて微笑むプリムスを見て、ルシル君は「馬鹿な・・・」って零した。アインスの視界に映るルシル君は顔を青くさせて「ありえない。ありえない!」って頭をガシガシ掻き始めた。明らかに尋常やないその様子に『ルシル君、落ち着いて!』って思念通話を繋げて言葉を掛ける。

「貴様がソレを持っているわけがない! そのオリジナルはもう存在しないはずなんだ! いやアレか、形が同じだけの偽物に違いない!」

「冷静になれルシル! 一体なんの話をしているのだ!」

「ぎゃいぎゃいと騒がしいですわね。まぁ所詮は神器王の紛い物にして劣化物。仕様がないことですわね」

『好き放題言うてくれるな、プリムス。確かにルシル君は、オリジナルの神器王のクローンかもしれへん。そやけどな、あなたもプリムス本人とはちゃうんやろ? それならあなたも紛い物で劣化物や』

ルシル君に対してめちゃくちゃ言うてくれたプリムスにも思念通話を繋げて、そっくりそのまま返してやった。若干プリムスの顔が苛立たしげに歪んだのが見えて、どやぁってなる。ルシル君も少しは今ので気が晴れてくれたらええなって思う。私の気持ちを察してくれたアインスがルシル君の方に振り向いてくれた。

「ルシル・・・?」『ルシル君・・・・』

ルシル君の顔色は変わらずに真っ青で、目を大きく見開いたまま顔を俯かせてた。戦闘の最中で臨戦態勢を解いてしもうてる私たちに何も言うことなくプリムスは踵を返して、トレーニングルームの壁際に設けられてるベンチに向かい始めた。

「まさか、とは思っていたんだ。・・・やはり、そう・・・だったんだな。俺は・・・」

「あら? 察しの良さは及第点ですわね。あなたの考えていることが事実だった場合、あなたは何をするべきなのかしら?」

顔を上げたルシル君と見つめ合うプリムスは、「どうぞお好きにしなさい。どのような結末であれわたくしは付き合いますわよ」と言うと・・・

――殲滅の凶獣園(パルケ・ソオロヒコ・デ・デストルクシオン)――

プリムスを護るかのようにいろんな動物の部位を切って貼って組み立てた感満載の生物、キメラの幻が出現した。かぶりを振ったルシル君は「ハッキリさせてやるさ!」って“エヴェストルム”のカートリッジをさらに3発とロード。アインスも続いて“ナハト・リヒト”のカートリッジをロード。

『アインス! 後ろ!』

ハンマーを持ってる幻術がルシル君に襲い掛かろうとしたのが微かに見えて、アインスも「承知!」ってルシル君に飛びついてその場から移動させた。直後、振り下ろされたハンマーはセラティナの結界で護られてるトレーニングルームの床にクレーターを作った。

『これホンマに幻なんか!?』

「そのはずなんだが・・・! 昼神の閃爆(コード・ダグ)!」

アインスの胸に顔を埋めてる、少しは落ち着いてくれたルシル君が魔術を発動。天井から降り注いできたのは蒼く輝く逆さの尖塔(オベリスク)。狙いは幻兵とプリムス。プリムスは焦ることなく回避行動に移った。あと、どうゆうわけか幻兵も回避行動を取った。床に突き刺さったオベリスクが無数の魔力弾となって幻兵やキメラに殺到。キメラも幻兵も回避や迎撃行動を取って、魔力弾から逃げ切った。

「っ! アインス! もう一度デアボリック・エミッションを!」

「りょ、了解した」

アインスとルシル君がカートリッジをさらに1発ロード。そして「デアボリック・エミッション・ヘクサ!」を発動した。アインスの発動したものは中心に、そんでルシル君が発動した6つ、計7つがトレーニングルーム全体を飲み込んだ。

「くっそ。おかしいと思ったんだ」

ルシル君の視線の先には幻兵が居るんやけど、胴体はやっぱり幻のようで何の抵抗も受けてへん。そやけどハンマーと、柄を握る右腕のみがデアボリック・エミッションの効果を受けてるように見える。つまり『幻やなくて本物か!』ってことになる。

「割と早く気付かれましたわね。その腕と槌はアーサーから借り受けた召喚獣ですわ。名前は興味ないので聞いてませんけど、腕だけこちらの世界に召喚しているそうですわ」

プリムスの言葉に彼女の方に振り向いてみれば、この強烈な魔力流の中でも平気そうに佇んでた。腕のように効果は受けてるようやけどダメージは入ってないみたいや。そう、全身を覆ってる魔力で完全防御してる感じ。デアボリック・エミッションの効果が切れて、改めて無傷のプリムスと対峙。

「お前が生前使っていた神器、パウォル・シュンボルムとセークーリタース・エストレリャ。信じたくはなかったが、やはりまさかの本物か・・・!」

「ええ、もちろんですわ。形が同じだけの紛い物など、このわたくしが身に着けるはずないでしょう?」

プリムスがティアラとネックレスを見せびらかすようにポーズを取ったことで、「ちくしょう! いや、まだだ・・・! まだそうと決まったわけじゃない!」ってルシル君が声を荒げた。

「ルシル・・・」『ルシル君・・・』

私たちとルシル君の間で何やら齟齬が発生してる模様。そやけどルシル君の様子からして聞いてもええのか憚れる。そやからアインスは冷ややかに「作戦変更だ。次はどうすればいい。プリムスを知っているのはお前だけだ」って、すぐに次の攻略法を聞いた。
私たちはプリムスを相手に広域攻撃を仕掛けることで勝とうとしてた。プリムスの幻術は強力で、こちらからの魔術は一切受け付けへん。そやから本体であり幻術に隠れてるプリムスを、ターゲッティングの必要性がない広域攻撃で幻術もろとも倒そうって作戦やった。

(たぶん、神器の効果とは思うんやけど・・・)

「・・・すまん。パウォル・シュンボルムは、相手の恐怖心を魔力に変換するというものだ。幻術でさんざん相手を恐怖させるからな。当時のプリムスは実質的に魔力が無限だった。セークーリタース・エストレリャは、俺たちみたいに広域攻撃でプリムスを斃そうとしていた者に対する効果、対広域攻撃魔力の防御と吸収だ」

(ホンマにピンポイントな効果やね・・・)

「当時から広域攻撃でないと倒せないと考えられていたのだな、プリムスという魔術師は。それで? 広域攻撃以外で勝つには創世結界だったか?」

「いや。奴の防御力を上回る攻撃なら普通に通用する。ただ、ターゲッティングをしないといけないから本物に当てられる確率も下がり、じり貧になって敗北という可能性が高いがな」

「もう作戦会議はよろしいかしら? わたくしはもういつでも帰還してもいいんですのよ? あなた達と戯れているのは気まぐれに過ぎません。これ以上の退屈は、眠ってしまいそうですわ」

プリムスがわざとらしく大きなあくびをした。それがますますルシル君の機嫌を損ねるってゆうんを理解してるみたいやな。オリジナルの記憶を受け継いでるルシル君の表情がまた険しくなってしもうた。ルシル君に冷静になってもらいたいから『アインス』に、それとなく私が落ち着くように言うてるってことを伝えるように言う。

「『はい。主はやて』・・・ルシル。主はやてからの声援だ、よく聞け。これ以上怒りに任せて意味不明なことを言うようなら後で私がぶっ飛ばす、だそうだ」

「え?」

『そんなこと言うてへんよ!!? それに声援やなくて脅しやソレ! ちょっ、ルシル君! ちゃうから! そんなこと言うてへんからな!』

慌ててルシル君に思念通話を繋げて弁明すると、アインスが「はて?」なんて首を傾げた。ここでまさかのアインスの素っ恍け。そやから私が直接伝えることになった。うーん、最初から私が言うとけばよかったんやな~。

『えっとな、ルシル君。思うところがあるんはよう理解してる。そやけどルシル君はルシル君や。過去の記憶に引っ張られて、現代のルシル君が苦しむのは――』

「おかしな話、か。・・・すまん、大丈夫だ。気持ちを切り替えて、プリムスを倒そう。俺とアイリ、はやてとアインスで」

『うん!』「ああ!」『ヤー!』

深呼吸を1回したルシル君の表情からは焦りは消えて、これまで黙ってたアイリの元気いっぱいの返事も聞けた。うん、これなら大丈夫やろ。

「時間が押しますので、次のそちらのターンが過ぎれば帰らせていただきますわ」

――尽滅の蹂躙軍(フエルサス・デ・オクパシオン)――

――殲滅の凶獣園(パルケ・ソオロヒコ・デ・デストルクシオン)――

次の瞬間、何十体ものキメラに跨る何十人ものプリムスが出現した。
 
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