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レーヴァティン

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第百八十二話 民の心その二

「民もそうなったら」
「一人残らず嬲り殺しになるからな」
「そうなることは目に見えているから」
「しっかりと守らないとな」
「何の罪もない人達を嬲り殺しにするなんてね」
「外道の振る舞いだしな」
「見てもね」
 それでもというのだ。
「これ以上はないまでに腹が立つでしょ」
「ああ、俺もな」
「だからね」
 それでというのだ。
「いいわね」
「ああ、民を守っていこうな」
「この戦では特にね、ただね」
「焦って兵を進めるなっていうんだな」
「地の利はあちらにあるわ」
 領主の側にというのだ。
「だからね」
「それで、だよな」
「迂闊に進んだら」
 その場合のこともだ、双葉は話した。
「伏兵や奇襲でね」
「思わぬ一撃を受けるしな」
「捕虜も出てしまうわ」
「敵はずっと狙ってきているしな」
 捕虜を手に入れることをというのだ。
「だからな」
「用心することよ」
「そうだよな」
「領主自らです」
 源三も言ってきた。
「処刑を行うこともです」
「あるんだな」
「むしろ趣味がです」
「処刑か」
「嬲り殺しにする様な、人でそれが出来る相手がいないなら」
 その場合はというと。
「犬や猫、鳥や鼠をです」
「そうして殺すのかよ」
「目に入った生きものを」
「冗談抜きでやばい奴なんだな」
 久志は源三のその話を聞いてこのことを再認識した、そうしたことを趣味とする者が一体どういった輩かわかっているからだ。
「人間にそうしてもな」
「不思議ではないですね」
「そうだよな」
「ですから尚更です」
「処刑するしかないな」
 久志はまた言った。
「その場合は」
「捕まえたなら、ただ」
「ただ?」
「おかしいのは領主だけで」
 それでというのだ。
「家族そして一族はです」
「特におかしくないか」
「むしろ家族や一族も」
「領主を恐れているか」
「身内も何かあれば」
 その時はというのだ。
「些細なことで、です」
「処刑しているんだな」
「それも極めて残虐な方法で」
「本当にシリアルキラーなんだな」
 久志は痛感して述べた。
「ここの領主は」
「左様ですね」
「ああ、けれど家族や一族がまともならな」
 それならというのだ。
「その中からな」
「次の領主をですね」
「選ぶな」
「そうしますね」
「ああ、それなら話が早い」
「家族や一族がまともなら」
「俺達は犯人には興味があるさ」
 その者自体にはというのだ。 
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