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夢幻水滸伝

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第百七十七話 ケバブを食べながらその四

「平和でええです」
「それは何よりやな」
「部活はバスケ部ですが」
「そっちはどないや」
「こっちも平和で」
「平和が一番か」
「何といいましても」
「平和が何とええことか」
 ファラーの言葉はしみじみとしていた、背は一七二位で痩せている。やはり肌は黒い。黒髪はパーマの様で短い。目は丸く大きく唇は横に大きい。水着は黄色の競泳のもので右手にはケチャップを付けたケバブがある、
「ほんまに」
「それ思うと日本はそれだけでええ国か」
「そう思います」
 実際にというのだ。
「私も」
「そうか」
「はい、私のクラスもそうですし」
「クラス何処や」
「工業科の二年B組です」
 そこだというのだ。
「部活は書同部です」
「部活はそっちか」
「平和に字が好きなだけ書ける」
「そのこともやな」
「幸せなことです」
「そやねんな」
「ほんまに」
「平和と健康ですね」
 ウスマンもケバブを食べている、やはり付けているのはケチャップだ。黒い肌で背は一七八ありすらりとしている。穏やかな目で黒髪を丸坊主の様にしている。口元は優しく黒のトランクスタイプの水着と白のティーシャツが痩せた身体に似合っている。
「幸せの基本は」
「その二つやな」
「日本でもそうですね」
「冗談抜きに虐待する親の家におったらな」
「その二つがなくて」
「それだけで不幸や」
 中里はウスマンに真顔で話した。
「ほんまにな」
「そうですね」
「戦争や災害はなくてもな」
「それでもというのだ」
「実際にな」
「僕のクラス、水産科の二年B組はやんちゃな人もいますが」
 ウスマンは中里に話した。
「ですが」
「それでもやな」
「平和です、やんちゃな人も節度がありますし」
「やんちゃで節度がない奴はな」
「碌でもないですね」
「将来身体に入れ墨入れたりしてるわ」
 別にヤクザ者でなくてもだ、少なくとも現代日本で身体にそうしたものを入れている者の評価は決まっている。
「そうした奴や」
「そうですか」
「そんな奴には近寄らんことや」
「朱に染まればですね」
「そや」
「部活は読書部でそこで日本文学を学んでますが」
 ウスマンは自分の部活のことも話した。
「そこでもです」
「そうしたことがわかるか」
「はい、やはり平和で健康である」
「その二つほんまに大事やな」
「というかです」
 クルマの背は一七五程で黒い肌と筋肉質の身体が印象的だ。目は鋭い感じだが光は穏やかだ。短い黒髪は縮れていて水着は群青色のトランクスタイプだ。
「この二つを何でもないと思ったら」
「あかんわ」
「そうですね」
「やけに戦争したい奴とかな」
「自分が行くとええですね」
「ネットではよおおるが」
 中里は嫌悪を見せてクルマに話した。 
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