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おぢばにおかえり

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第六十一話 食べてもらってその四

「いいわね」
「もう大きくならないっていうのね」
「そう、もうね」
 絶対にという言葉でした。
「女の子の成長期は終わったから」
「まだ大きくなるわよ」
「ならないわよ」
「幾ら何でも無理よ」
 妹達が私に言ってきました、二人も大石さんも一緒のちゃぶ台で食べています。一家団欒でとても楽しいです。
「うち皆小さいし、女の人」
「お母さんもお祖母ちゃんもじゃない」
「私達三人も小さいし」
「遺伝のこともあるし」
「牛乳飲んでいたら」
 毎日そうしています、勿論高校でもそうでした。
「絶対に背も伸びるわよ」
「それないから」
「本当にね」
「身体は丈夫になるけれど」
「背はもう伸びないわよ」
「お母さんもそう思うから」
 またお母さんが言ってきました。
「だからね」
「諦めろっていうの」
「背のことはね、ただ牛乳は身体にいいから」
 だからというのです。
「飲んでいくといいわよ」
「そのことはいいのね」
「ええ、飲んでいったらいいわ」
 それはいいというのです。
「健康の為にね」
「それじゃあね」
「千里は好き嫌いがないしね」
「好き嫌い言ったら」
 それこそです。
「教会にはいにくいわね」
「だからいいしね」
「そうなのね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「この子もそうみたいだし」
 お母さんは阿波野君をにこにことして見ています、その阿波野君を見ている目は随分と暖かいものでした。 
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