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夢幻水滸伝

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第百六十八話 力の差その八

「剣道してるモンでもおった」
「相手を馬鹿にする輩がですか」
「そうぜよ、稽古中じゃったが」
「県道をする資格がないですね」
 クッツェーはそうした輩の名前を聞いて述べた。
「まことに」
「それで怒った部活の先輩に稽古中でこてんぱんにやられたぜよ」
「戒めを受けたのですね」
「他にも悪いことばかりしててじゃ」
 そしてというのだ。
「嫌われまくって今は何でも兵庫の一番下の高校に通っちょる」
「いわゆる最底辺の学校ですね」
「そこにおってぜよ」
「最底辺の連中と共にいる」
「わしもそんな奴は駄目ぜよ」
 普通に接することはできないというのだ、誰とでも仲良くなれると言っていい正岡にしてもというのだ。
「付き合えんのう」
「それだけ相手を馬鹿にすることはですね」
「いかんことぜよ」
 そうだというのだ。
「まっこと」
「そのことは同館です」
 クッツェーは正岡のその言葉に真剣な顔で頷いて応えた。
「まさに」
「そうじゃのう」
「私もそうした人を好きになれず」
 そしてというのだ。
「軽蔑します」
「そうじゃな」
「はい、ですから」
 そうした輩を軽蔑するからこそだというのだ。
「決してです」
「そうしたことはせんのう」
「ですから貴方ともです」
「全力で闘ってじゃな」
「勝ちます」
「ほなのう」
「一騎打ち続けましょう」
「そうするぜよ」
 正岡は笑顔で応えてだった。
 一騎打ちを続けた、その他にも。
 一騎打ちは行われていた、井伏はインファンテと彼の船の甲板で闘っている。インファンテの部下達も井伏の部下達もその一騎打ちを見守っている。
 その中で彼等はお互いに言っていた。
「ええか、一騎打ちや」
「一騎打ちの邪魔はせんことや」
「こうした時は見守る」
「その成り行きをな」
「邪魔したモンは叩きのめすからな」
 即ち制裁を加えるというのだ。
「ええな」
「ここはお二人の一騎打ちを見守るんや」
「そして勝った方を讃えるで」
 こうしたことを話しつつだった。
 彼等は一騎打ちを遠巻きにして見守り歓声を送っていた。その中で。 
 インファンテは右手に槍左手に銃を持ちつつ井伏の力士独特の突撃と張り手をかわしつつ攻撃を放っている。だが。
 その突撃をかわしてから彼は言った。
「よおそんだけ激しくぶつかって来れるな」
「わしは力士じゃ」
 井伏はインファンテを見据えて言葉を返した。
「だからじゃ」
「それでやな」
「ぶつかるんじゃ」
「そういうことやな」
「しかもわしはオーク」
 井伏は今度は自分の種族の話もした。
「だからじゃ」
「それでやな」
「尚更じゃ」
「ぶつかるのは得意やな」
「そうじゃ」
 こう言うのだった。
「そしてじゃ」
「技もやな」
「あるんじゃ」
「それが相撲やな、揺れる船の上でもバランスを崩さん」
 このこともだ、インファンテは指摘した。 
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