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戦国異伝供書

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第百十二話 はったりその五

「よい」
「左様ですか」
「これで最上家もな」
「そのはったりを聞いてですな」
「お主を侮らぬ様になる」
「いざとなれば徹底的にすると思い」
「そうしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「お主をそう思う様になる」
「それがしの狙い通りですな」
「左様、そうして最上家を牽制してじゃな」
「そうしつつです」
「芦名家の方に兵を進めていくか」
「さらに」
 その様にするというのだ。
「そうしていきまする」
「それではな、ではこれからもお主に任せる」
「思う様にしてよいですか」
「うむ」
 まさにというのだ。
「その様にせよ」
「それでは」
「あと鉄砲を八千丁と言ったそうじゃな」
「実際はそこまではとてもです」
「ないな」
「まだ百位しかです」
 それ位しかというのだ。
「ありませぬ」
「そうであるな」
「その八千丁もです」
 鉄砲の数もというのだ。
「実を言えばです」
「はったりであるな」
「はい、ですが」
「はったりを言うならか」
「思いきり言うもので、そして鉄砲はこれからも」
「造っていくな」
「今は百丁程ですが」
 それでもというのだ。
「さらにです」
「造っていくか」
「そして勢力も拡大し」
 そしてというのだ。
「今以上の兵をです」
「備えるか」
「今はの我等は七千の兵を出せるだけの勢力になりましたが」
 それでもというのだ。
「さらにです」
「勢力を拡大していくか」
「米沢から会津までを抑えれば」
 その時はというと。
「二万の兵を持てます」
「二万もの兵を持つとな」
「もうです」
「奥羽随一の勢力であるな」
「その数で他の家を圧していき」
 そうしてというのだ。
「どんどん降していけば」
「奥羽を一つに出来るな」
「はい、天下は大きく動いているので」
「当家もじゃな」
「動いていきましょう」
「ではな、それで天下のことであるが」
 輝宗は政宗にここでそのことを話した。
「織田家は一気に大きくなりな」
「天下人になられましたな」
「元服されて七年でな」
 織田信長、彼はというのだ。
「尾張を統一され桶狭間で勝たれ」
「伊勢と志摩、美濃を手に入れられて」
「上洛されてな」
 足利義昭、かれを擁してだ。
「そこからさらにな」
「多くの国を手に入れられて」
「今では東海の西と近畿の殆ど、四国の大半まで手に入れたな」
「まさに」
「そうなってな」 
 そしてというのだ。 
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