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戦国異伝供書

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第百十話 兄と弟その二

「堤や道もじゃ」
「よくする」
「民の為にも」
「そして国もですか」
「豊かにしてな」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「力を蓄え」
「そのうえで、ですな」
「やがてはですな」
「奥羽を」
「そうする、あと鉄砲鍛冶であるが」
 政宗はこちらの話もした。
「話は進んで居るか」
「はい」
 細い眉の男が応えた、彼が取り立てた支倉常長だ。
「堺から数人ですが」
「雇うことがか」
「はい」
 まさにというのだ。
「整い」
「この米沢にじゃな」
「かなりの禄で雇いますが」
「よい」
 禄のことはというのだ。
「それはな」
「多くなろうとも」
「それでもですか」
「構いませぬか」
「鉄砲鍛冶へのそれは」
「それ以上のものが得られるからな」 
 それだけにというのだ。
「よい」
「左様ですか」
「では、ですな」
「堺から鉄砲鍛冶達を雇い入れ」
「米沢に迎え入れ」
「鉄砲を造らせますか」
「その様にする、関東でも鉄砲はまだ少ないが」
 北条家にしても揃えられていない、甲斐の武田家も越後の上杉家もその事情は同じである。奥羽は尚更だ。
「しかしな」
「当家はですか」
「揃える」
「そうしますか」
「少しでも」
「その様にしますか」
「そしてな」
 鉄砲を揃えてというのだ。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですか」
「若君はですか」
「さらにされますか」
「お考えがありますか」
「織田殿でも考えたことのないな」
 まさにとだ、政宗は家臣達い笑って話した。
「それをする」
「そうされますか」
「戦の時に」
「そしてですか」
「そのうえで、ですか」
「戦に勝っていってな」 
 そうしてというのだ。
「必ずな」
「奥羽をですか」
「一つにする」
「その為の第一歩ですか」
「鉄砲を揃えることは」
「それになる、だからこそな」
 かなりの禄を払ってもというのだ。
「よい」
「ですか」
「それでは」
「堺からですな」
「鉄砲鍛冶を雇いますな」
「その様にする」 
 こう言ってだった。
 政宗は実際にかなりの禄を払ったがその介あって数人の鉄砲鍛冶を雇って米沢に入れた、そうしてだった。 
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