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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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第3部~希望と絶望の宝石~
  第11話『君はまだ信じられるのか?』

「キュゥべえが言っていたワルプルギスの夜について何か分かりますか。」
〝雅国家象徴が向かった世界に存在している史上最強の魔女のことね。数多の少女の無念によって構築されている存在で、人類が作り出したあらゆる質量兵器が通用しないという記述があるわ。〟
「やるじゃないか!ここはこいつの出番だ!」
「なんだこつら!グールではない!」
「一刻も早く願いの魔女を見つけ、撃破しましょう。」
「それさえ倒せば、私達の共闘も終わりだしね。」

雅はさやかを探していた。
「美樹さん、学校に顔も出さないで何処に行ったんだ?」
雅はさやかがかつてまどか達や、さやかの思い人である恭介と出歩いていた場所を手当たり次第探すが、それらしい人影は見つからない。
「ここのところファントムの反応すら消えている。魔女だってこの世界から晴人さんの世界に移動しているんだ。このままだと手遅れになる。」
辺りは夜空になり雅は独り言を呟きながら走る。すると雅はついにさやかを見つけることに成功する。
「美樹さん、こんな時間にどうして歩いているのですか。親御さんが心配しますよ。」
雅はさやかに声をかける。
「何?あんたには関係ないでしょ。」
さやかは雅を睨みつける。
「仮にも僕は美樹さんのクラスの教育実習生。教師が生徒の心配をするのは当たり前です。」
「ほっといてよ!親が心配する?あんたにわかるの?既に死んでいて、動く死体になっている私の気持ちが!そんな事実を知らない父さん達の気持ちが!」
雅の言葉にさやかは激昂し、変身して剣を引き抜き雅を攻撃する。
【CHANGE RIDE-ZETTOU AME NO HABAKIRI-】
「♪Imyuteus amenohabakiri tron」
雅はディロードライバーを天羽々斬に変えてアームドギアを纏い、剣を抜刀してさやかの剣を防ぐ。
「解らないです!だって僕は…ずっと昔に親を無くしているから!」
「親が既にいないなんて、随分気楽じゃない!」
既にさやかの攻撃には自身を守るという太刀筋ではなく、目の前の憎い者を壊すために自壊すら省みない戦法に変わっていた。
「♪一つめの太刀 稲光より 最速なる疾風(かぜ)の如く 二つめの太刀 無の境地なれば 林の如し~」
雅は逆羅刹を放ってさやかの攻撃を弾こうとするが、さやかは構わずに雅を攻撃する。
「くっ、♪百鬼夜行を恐るるは己が未熟と水鏡 我がやらずて 誰がやる!目覚めよ!蒼き破邪なる無双!」
雅は体勢を整えて天羽々斬を振るうがさやかはそれを払い除ける。
「♪幾千幾万、幾億の命!すべてを握りしめ振り翳す その背も凍りつく 断破の一閃!散る覚悟はあるか?」
雅は千ノ落涙を放つが、痛覚を断ち切っているさやかは痛みなど感じることもなく雅に向かってつき進んでゆく。
「♪今宵の夜空は刃の切っ先とよく似た三日月が香しい!伊座、尋常に!我がつるぎの火に!消え果てよ!」
雅は巨大化させた天羽々斬を用いたキック、天ノ逆鱗を放つが、さやかに軽々と避けられてしまう。
「うっさいって、言ってるでしょ!」
さやかは剣を振り上げる。
「今だ!」
雅は脚部ギアに収納してある小刀を取り出し、さやかの影に投擲。シンフォギアの世界で学んだ緒川直伝の現代忍法、影縫いを使ってさやかを拘束すると雅はロードスラスターを出現させてセイクリッドグリッターと鬼狩流桜に分離させる。
「出来るか解らないが、やるしかないか。ディバイドエナジー!」
雅はさやかが抱えている負の魔力と自身の新鮮な魔力を取り換え、さやかのソウルジェムの穢れを祓う。
「何が目的!?」
さやかは動けないまま雅に質問する。
「どうして自らソウルジェムに穢れを溜め込むのですか!」
「うるさい!あんたには関係ない!これは私の問題!」
「そういうわけにもいきません。鹿目さんは美樹さんを心配しています。」
「まどか?キュゥべえから聞いたよ、私を超える最強の魔法少女になれるんだってね。随分呑気なこと言ってるんだ、魔法少女になっていないくせに。」
「そういう言い方はないでしょう。世の中には心配してくれる人がいない人もいる。心配してくれる人がいるだけ、美樹さんは恵まれています。」
「黙れ!」
雅の言葉を聞き、さやかは更に怒りの感情を強める。すると、
「彼の言うとおりよ。美樹さやか、これ以上不用意に穢れをため続けたら、このままだと貴女は破滅するわ。」
既に魔法少女の姿に変身したほむらと杏子が現れる。しかし、
「さやか、今だ!こいつらから逃げろ!」
杏子はさやかの動きを封じていた影縫いの小刀を引き抜き、さやかを逃がす。
「貴女、なんてことを!」
ほむらは時間停止の魔法を発動しようとするが、杏子はほむらを羽交い締めにする。
「こうしていりゃあ、その変な術も使えないんだろう。」
ほむらの魔法は彼女が触れているものには無効であることを杏子に見抜かれておりほむらは一瞬止まるが、すぐにスタングレネードを取り出し、安全ピンを引き抜いて落とし、スタングレネードは閃光を放ち杏子は目を瞑るが、ほむらはその隙に魔法を発動して雅と共に戦線離脱する。
「見事に逃げられてしまいましたね。」
「ええ。彼女にある程度の事情を話したのはミスだったわ。」
「暁美さん、佐倉さんにはどこまで話しました?」
「近いうちにワルプルギスの夜が襲来することと美樹さやかが消えることよ。」
「おそらく、それを聞いて佐倉さんは美樹さんを守ろうとしたのだと思います。」
雅がほむらに話していると、公園のベンチでキュゥべえと話しているまどかを発見する。
「キュゥべえ、今度は何を企んでいる!」
雅はロードスラスターを取り出してキュゥべえを斬ろうとするがキュゥべえはさっと離れ、そのまま去って行く。
「鹿目さんも鹿目さんで、どうしてキュゥべえに近づくのですか。」
「それは、その、さやかちゃんのことで何か解るかもって思って…」
「それで言われたのだろう、知りたいなら契約して魔法少女になれと。」
「うん…でも私!」
「鹿目さん、よく聞くんだ。美樹さんは今、人として大切な体の痛みを捨ててしまっている。それを促したのは他でもないキュゥべえだ。それでも、君はまだ信じられるのか?」
「でも、キュゥべえがそうしたなら、キュゥべえはきっと、さやかちゃんのことを知っているはずです。」
「もし知っていても、キュゥべえは話さないだろう。奴は自分達に都合のいい話、理解出来る話だけは必要以上に話すが、自分達にとって都合の悪いことは決して話さない。そして、それを盾に人の心を追い詰める。現に見ただろう。魔法少女にはもう命がないこと、その命を肉体から奪ったのは他でもないキュゥべえ自身であることを。そして今も、友達を心配する心を利用して契約を迫っていただろう。」
「まどか、彼の言うとおりよ。貴女はもう関わらないでちょうだい。貴女が、貴女のままでいられるように。」
ほむらはまどかに話すと去ってしまう。
「鹿目さん、今日はもう遅いんだ。僕の方で親御さんには連絡をしますので、帰りましょう。」
雅はまどかの家に連絡をする。
〝はい、鹿目です。〟
雅の電話にまどかの母の詢子が電話口に立つ。
「夜分遅く申し訳ございません。見滝原中学、教育実習生の凪風と申します。娘さんのことでお話が…」
雅は詢子に現在まどかが外出し、その先で自分が見つけて保護していることを伝える。
〝お電話ありがとうございます。私の方で迎えに行きます。お忙しい中、わざわざ娘の為に申し訳ございません。それでは、失礼いたします。〟
雅は詢子との電話を終える。
「鹿目さん、お母さんがすぐに迎えに来ますから、ここで待っていましょう。」
雅とまどかがベンチに座って20分程経ち詢子がやって来る。
「鹿目さんのお母さんですか。」
「はい。娘がご迷惑おかけいたしました。まどか、あんたも謝りなさい。」
「はい、凪風先生ごめんなさい。」
詢子に言われ、まどかも謝る。
「こういう時、早乙女先生の方がよかったのかもしれませんが。ちょうど変なセールスに騙されそうになっていた所を見つけて保護しました。詳しいことは、鹿目さん自身から直接聴いてください。それでは、本日はもう遅いので、気をつけてお帰りください。」
雅は詢子にまどかを渡す。
「娘の方には、私の方から注意いたします。娘を見つけていただき、ありがとうございます。それでは、失礼いたします。」
詢子とまどかは帰路に立つ。
「さて、そろそろ限界か。」
雅は物影からまどかを見ていたキュゥべえをロードスラスターで撃ち抜く。

翌日、まどかはさやかに呼ばれてある駅のホームにいた。
「さやかちゃん、大丈夫?」
「まどか、やっぱり、あいつの言うとおりだった。」
「あいつって?」
「あの転校生の仲間。」
「雅先生のこと?」
「そう。前に言われたんだ。願いと我欲を間違えるなって。私、最初は上手くやれるって、マミさんみたいな正義のヒーローになれるって、ずっと思っていた。だけど、やっぱり私はどこかで見返りを、願い以上のものを求めていた。」
さやかはまどかに仁美が恭介に告白したこと、恭介がそれに応えたこと。自分はそれが怖くてできなかったこと。そして、それに強い憎しみと絶望を覚えてしまったこと。
「おいさやか!雅から話は聞いた!無茶するな!」
そこに杏子もやって来るが、杏子はある異変に気づく。
「おい…なんだよ、その(ひび)…」
さやかの顔には、紫色の罅が現れていた。
「あたし、もう駄目みたい…」
さやかの大切な規模となる思い出がさやかに過る。
『恭介、奇跡も魔法もあるんだよ。』
その思い出は紫色の罅と共に砕け散る。
「あたしって、ホント馬鹿…」
そして、さやかのソウルジェムは濁りの頂点を越えて砕け散る。
「実に興味深いデータがとれる。ファントムが生まれる世界で魔法少女が絶望した時、どうなるか。」
物影からキュゥべえが観察する。
「キュゥべえ、最初からそれが狙いか。」
キュゥべえの隣に雅がやって来る。
「ここは今や仮面ライダーの世界の一部となっているんだ。ここはこう言うべきかな。さあ、実験を始めよう。」
砕け散ったソウルジェムはグリーフシードとなり、辺りに魔女結界が展開される。
「ゥオオオオオォッ!」
さやかのソウルジェムだったグリーフシードから人魚の魔女が生まれ、
「美樹さやかの魂は死んだ。今の私はファントムのマーメイドだ!」
さやかの肉体はファントムのマーメイドに変貌する。
「おい、どういうことだよ!どうしてさやかが魔女になったんだよ!」
杏子は狼狽えた。
to be continued.

次回予告
「ついに見つけた願いの魔女。それが罠だとは知らずに…次回『決戦の日』」 
 

 
後書き
新カード紹介
絶刀・天羽々斬:ディロードライバーを天羽々斬に変えてアームドギアを纏う為のカード 
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