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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百八十三話 テストも終わってその六

「駄作はない」
「そうも呼ばれていますね」
「はい」
「そうなったこともですね」
「幼い頃から才能を開花させましたが」
 喋る前に音楽を覚えたとさえ言われている。
「そこからです」
「三十五歳になるまでにですね」
「多くの名作を残しています」
「駄作なしですね」
「そうなったことは」
 まさにというのだ。
「文字通りにです」
「普段の努力の結果です」
「そうですね」
「ただ、作曲をしていないと苦しいとです」
「中毒みたいですね」
「ですから本人はです」
 モーツァルト自身はというのだ。
「努力を努力とはです」
「思っていなかったですね」
「はい」
 そうだったというのだ。
「そうした人でした」
「左様ですね」
「努力家でも」
 それでもというのだ。
「それを努力と思わない」
「そうした人ですね」
「はい、本当の天才だったのです」
「努力を努力と思わない」
「最初からかなりの才能があり」
 そのうえでだ。
「そうした人だったのでしょう」
「そう思うと凄いですね」
「一つの分野に才能が特化していて」 
「その才能を思う存分開花させて」
「ずっと努力をしていた」
「そう思うと凄いですね」
 僕はモーツァルトについてあらためて思った。
「あの人も」
「はい、人間性はかなり問題もありましたが」
「ビリヤードが好きでお金使いが滅茶苦茶で下品なジョークが好きでしたね」
「そうしたところもありましたが」
 これが結構酷かったらしい。
「純粋で人懐っこく邪心のない」
「そうした面もありましたね」
「はい、善人か悪人かといいますと」
「善人でしたね」
「そうでした、ただビリヤードにお金を賭けて」
 それでだ。
「いつも散財していたことは」
「よくないですね」
「どうも」
「やっぱりそこは、ですね」
「困ったことでした」
「貧しかったって言われてますけれど」
「報酬はかなりでした」
 作曲のそれはだ。
「そもそも皇帝から作曲を依頼されていました」
「ヨーゼフ二世ですね」
「オーストリア皇帝の」
 あのハプスブルク家のだ。
「皇帝が報酬を弾まないか」
「そんな筈ないですからね」
「多くの大貴族や高位の聖職者から作曲を依頼されていました」
「ならですね」
「収入自体はです」
 これはというのだ。
「本当にです」
「ありましたね」
「はい、ですが」
「その報酬をですね」
「ビリヤードで散財していました」
「困った癖ですね」
「それでお金がなかったです」
 これが真実であったのだ。 
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