レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百六十八話 美濃入りその四
「それで、あります」
「それなりに豊かでもあるな」
「そうであります、ただ」
「若し虫がいればだな」
「しっかりとした政をと言いたいでありますが」
「ああした虫は上下水道が万全でないとならない」
「水が綺麗でなければ」
「溝等もしっかりとな」
「コンクリート等にして」
「そうしないといけないが」
「この世界では、でありますな」
「技術的には無理だ」
到底というのだ。
「だからな」
「それで、でありますな」
「諦めるしかない」
その虫のこともというのだ。
「残念だが」
「全くでありますな」
「そうだな、だが蚊や蝗等はな」
こうした類の害虫はというと。
「対応が取れる」
「蝗が増え過ぎると難儀にしても」
「それでもな」
まだ、というのだ。
「それは出来る」
「蚊については水溜まりをなくしていき」
「池や井戸に魚を飼えばいい」
「そうしていけば魚が蚊を食うであります」
「だからそれで済む」
「そして田畑の害虫も」
こうした虫達もというのだ。
「食わせるでありますな」
「鴨等にな」
「そうしていけばいいでありますな」
「それに雀もいる」
この鳥達もというのだ。
「あの鳥は米も食うが」
「害虫も食うであります」
「だからだ」
「雀も使うでありますな」
「それと田にも魚を飼えば」
「蚊が生まれるぼうふらもでありますな」
「食ってくれるしな」
このことが期待出来るからだというのだ。
「いい筈だ」
「そちらにも何とかなるでありますな」
「あと田畑に蜻蛉や蛙を多くしてもな」
そうしてもというのだ。
「いい」
「虫には虫」
「そうも言える、蜻蛉に蚊を食わせ」
そしてというのだ。
「蛙にもな」
「食わせるでありますな」
「そうもしてだ」
その様にしてというのだ。
「減らしていってもいい」
「一応初歩的な農薬みたいなものもありますが」
「それを使ってもいいが」
「それと共にでありますな」
「そうだ、鴨や雀や蛙にだ」
それにというのだ。
「魚もな」
「使うでありますな」
「こうしたものは食うことも出来る」
ただ虫達の問題を解決するだけでなくだ。
「だからだ」
「いいでありますか」
「蜻蛉は食えるにしても美味しいかどうかは知らないが」
それでもというのだ。
「蛙も食える」
「しかも美味い」
「だからだ、虫達を退治させてだ」
「食うこともするでありますな」
「そうさせていく、農業についてはな」
「それでは」
「幸い蝗の害が少ない浮島でだ」
蝦夷には出るには出るがというのだ。
「そして蚊はいても虫から来る疫病もな」
「少ないでありますな」
「それは有り難い、対処していくにしろ」
「そうしたことでかなり減るでありますな」
「だからいい、根絶は難しいがな」
「疫病が流行るとのう」
当季は右目を瞑り着物の前から右手を出して己の顎に当てて深く考える顔になってそのうえで言った。
ページ上へ戻る