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銀河帝国革命

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革命の前史

 
前書き
今話は実質説明回になりますので非常に短いです。 

 
熾烈を極めた第7次イゼルローン攻防戦後、大敗北を喫した帝国軍はエーレンベルク軍務尚書、メルカッツ統帥本部総長、シュターデン宇宙艦隊司令長官の新体制の下、必死の軍制改革が行われていたが、大災害以降の混乱と軍事費の増大で国庫は逼迫しており、帝国の財政は破綻寸前の状態に追い込まれていたため、再建は遅々として進まなかった。また、度重なる遠征と敗戦によって、帝国軍兵士たちに厭戦気分が高まっており、集団脱走が頻発していた。
ゴールデンバウム朝銀河帝国は、一部高官の献身的で超人的な働きによって、辛うじて崩壊を免れているに過ぎなかった。

一方の自由惑星同盟においても、イゼルローン要塞の半壊によって軍事行動が大幅に制限された事、イゼルローン要塞奪取後、戦いが帝国領内に移った事により、同盟市民内で厭戦気分が高まりつつあった。
そして政権の連立与党である自由共和党内で、後にラッキード事件と呼ばれる同盟史上最大規模の贈収賄事件が発生、自由共和党総裁でコーネリア・ウィンザー情報交通委員長と、宇宙艦隊司令部作戦次席参謀のアンドリュー・フォーク少将が逮捕されるという大事件となった。
更に同じく連立与党である反戦市民連合の代表幹事ジェシカ・エドワーズ人的資源委員長と、第7次イゼルローン攻防戦の功で昇進し、新設された幕僚総監に就任したヤン・ウェンリー中将の不倫スキャンダルが発覚。エドワーズ代表幹事の夫はヤン中将の親友で、イゼルローン要塞駐留艦隊分艦隊司令官のジャン・ロベール・ラップ准将。ヤン中将の妻はイゼルローン要塞司令官ドワイト・グリーンヒル大将の娘で、幕僚総監付きの副官フレデリカ・グリーンヒル大尉であった。しかも互いに家族ぐるみの付き合いがあり、人気の美男美女夫婦が起こしたという話題性も相まって、同盟全体を巻き込んだ一大騒動に発展してしまったのであった。
これらの出来事が立て続けに発生したことにより、挙国統一政権発足以来高支持率を維持してきたジョアン・レベロ政権の支持率は急落。同盟議会代議員総選挙では辛うじて過半数を維持するも、議席の半数近くを失う大敗を喫した。
これによりレベロ政権は退陣し挙国統一政権は崩壊、後任として新たに就任したヨブ・トリューニヒト進歩党総裁による単独政権が樹立された。

以上の出来事が重なり、帝国と同盟の大規模な戦闘が起こらなかった為、長年戦闘に晒され続けてきた国境と呼ばれる両国家の最前線では、一時的な平和が訪れていた。
だがそれは、銀河全土を巻き込む大混乱の予兆に過ぎなかったのである。





帝国暦487年/宇宙暦796年12月10日、リヒテンラーデ首相とゲルラッハ財務尚書が推進する貴族特権の一部廃止を盛り込んだ財政改革に反発したマクシミリアン・フォン・カストロプ公爵が武装蜂起、カストロプ公国を名乗り独立を宣言した。
これに対し帝国はシュムーデ中将率いる討伐軍を差し向けるもカストロプ公国軍の奇襲で出ばなを挫かれ敗北。艦隊を再編し再度攻撃を仕掛けるも、カストロプ公爵自ら指揮による公国軍の地の利を使った戦いの前に敗北、シュムーデ中将が戦死したことにより討伐は失敗に終わる。余剰戦力のない帝国軍は貴族の私兵軍を投入しようとするも、貴族達の反発と上院の抵抗により頓挫、それにより3か月が経って現在でも、反乱討伐の目途は立っておらず、帝国の弱体化を国内外に晒すことに繋がった。
これにより一時的に鎮静化していた暴動が各地で再発、事態収拾もままならない帝国は、まさに崩壊の危機に直面していたのである。





そして、年は明けて帝国暦488年/宇宙暦797年、帝国にとってこの年は、建国史上最悪の年であり、またゴールデンバウム朝銀河帝国が、過去の歴史上存在した国として、人々に記録される運命の年となってしまうのである……




 
 

 
後書き
最近全く主人公が登場していませんが、もうしばらくかかるかもしれません。 
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