レーヴァティン
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第百六十六話 全て整いその二
「甲信と北陸は違う」
「雪が多いからですね」
「それで、ですね」
「春に攻めて」
「冬には攻めないですか」
「出来るだけな、雪が降ると何かと不便だからな」
どう不便かもだ、英雄は話した。
「道は塞がり鉄砲も使えずな」
「凍えますね」
「あれだけ不便にしてくれるものはありません」
「こちらでも雪が降ればそうなります」
「どうしてもそうなります」
「だからですね」
「それ故に雪が降らない時にな」
その時にというのだ。
「攻める様にしたい」
「春ですね」
「その時になればですね」
「攻める様にしますね」
「その様にしますね」
「そして今だ」
まさにというのだ。
「春になろうとしているな」
「それではですね」
「伊勢と近江の方に兵を集めますか」
「そして春になれば」
「その時にですか」
「攻める、安土城と彦根城、伊賀上野城と津城に兵もものも集め」
そしてとだ、英雄は話した。
「そしてな」
「春になればですね」
「その時にですね」
「一気に攻めますね」
「そうしますね」
「そうだ、まずは尾張と美濃を制し」
この二国からだった、英雄は今は自身の頭の中に東の浮島の地図を描いてそのうえで幕臣達に話をしていた。
「それからだ」
「東に進みますね」
「その様にしますね」
「そして駿河、甲斐までですね」
「進みますね」
「関東との境までな」
そこまでというのだ。
「それぞれの国を完全に制するぞ」
「それでは」
「我等もですな」
「後ろで、ですな」
「戦を支えるのですな」
「それが我等の役目ですね」
「そうしてもらう、お前達は戦の場には出ないが」
しかしというのだ。
「それでもだ」
「為すべきことを為し」
「そしてですね」
「戦える様にする」
「その様にすることが勤めです」
「その勤め果たしてもらう」
是非にという言葉だった。
「いいな」
「わかりました」
「それではです」
「勤め果たさせてもらいます」
「十二分に」
「その様にさせてもらいます」
「是非な、では幕府を挙げた戦を行う」
今からというのだ、英雄はここで令を発した。
すぐに兵や兵糧、武具が近江と伊勢に集められた、そうして。
英雄も仲間達に言った。
「ではだ」
「これよりでござるな」
「俺達もだ」
智に応えて述べた。
「出陣する」
「そうするでござるな」
「まずは美濃だ」
この国だというのだ。
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