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ドリトル先生の野球

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第六幕その九

「野球は利き腕がかなり関係するスポーツだね」
「そのことは間違いないね」
「やっぱりね」
「しっかりとね」
「それはあるね」
「そして彼は」
 八条大学のあのキャッチャーの人のお話もするのでした。
「右投げ右打ちだね」
「キャッチャーの人では標準だね」
「右投げは絶対にしても」
「そこで右打ちっていうのは」
「同じだね」
「そうだよね」
「うん、ただ彼は右ピッチャーも左ピッチャーもね」
 相手がどちらでもというのです。
「問題なく打っているね」
「相手ピッチャーの利き腕に関係なく」
「コンスタントに打ってるんだ」
「どちらのピッチャーも問題なく」
「そうなんだね」
「これはピッチャーにも言えるけれど」
 それでもというのです。
「相手の利きによって得意不得意がある人がいるよ」
「右バッターで右ピッチャーに弱いとかですね」
「そう、左ピッチャーに強いとかね」
 先生はトミーに答えました。
「そうした人がいるよ」
「そうですよね」
「よく左バッターの人は左ピッチャーの人に弱いというね」
「利きが同じだとですね」
「どうしても見えにくいからね」
「ピッチャーだと逆になりますね」
「そう、右ピッチャーの人が左バッターに弱いとかね」
 そうしたことがというのです。
「あるね」
「そうですよね」
「ところがこれは一概に言えなくて」 
 先生がここでお話することはといいますと。
「工藤公康さんは左ピッチャーだけれど左バッターに弱かったんだ」
「そうだったんですね」
「近鉄にいたクラーク選手は右バッターだったけれどね」
「左ピッチャーに弱かったんですね」
「右ピッチャーと左ピッチャーで打率が全く違ったんだ」
「そこまでだったんですね」
 トミーもお話を聞いてそうだったのかというお顔になっています。
「また極端ですね」
「逆に王貞治さんやイチローさんは左バッターだったけれどね」
「左ピッチャーを苦にしなかったんですね」
「そうだったんだ」
 この人達はそうだったというのです。
「右ピッチャーでも左バッターに強い人もいるしね」
「利きは関係あっても」
「それとはまたね」
「違うところがあるんですね」
「そうなんだ、横浜にいた古木選手は左バッターで左ピッチャーをかなり苦手としていたし」
「そうしたオーソドックスなケースもあって」
「そうじゃないケースもあるんだ」
 左ピッチャーなのに左バッターに弱かったり右バッターなのに左ピッチャーに弱かったりするというのです。
「クロスファイアーっていって対角線で強いピッチャーの人もいるし」
「右だと左、左だと右ですね」
「そうした人もいるから」
「本当にそれぞれですね」
「けれど彼はね」
「左右関係ないですか」
「どちらも打率はね」
 それはというのです。
「別にね」
「安定しているんですね」
「得点圏打率でもそうでね」
「そうしたことに関係なくですか」
「打っているよ、長打率もね」
 こちらもというのです。
「変わらないし」
「安定感が凄い人ですか」
「うん、抜群だね」 
 その安定感たるやというのです。 
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