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ペンテウスへの仕返し

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第四章

「楽しもう」
「昼なので酒は」
「駄目だね」
「水をお願いします」
 あくまでそちらだというのだ。
「それでは」
「ではね」
 ディオニュソスは頷きそうしてだった。
 この時も二人で飲んで食べた、この日は牛の肉の焼いたものをどんどん出していった、そうして食べていった。
 ディオニュソスは葡萄酒を、ペンテウスは水を飲む。二人で楽しんでいると。
 やがてペンテウスは乱れだした、そして。
 歌い踊りだした、そこでディオニュソスは女達を呼び彼を寝室に案内させた。そうして周りの者達に言った。
「かかったね」
「あの、また急にです」
「テーバイ王は乱れましたが」
「あれは一体」
「どういった悪戯ですか」
「僕は水を出したよ」
 ペンテウスにとだ、ディオニュソスはいぶかしむ従神達に話した。
「確かにね」
「はい、間違いなくです」
「私達も水を出しました」
「それを用意しました」
「そう、しかし出された水をね」
 それをというのだ。
「彼が飲む時に変えたんだよ」
「まさか」
「その時にですか」
「水をですか」
「そう、葡萄酒に変えたんだよ」
 そうしたとだ、ディオニュソスは笑って話した。
「彼が飲む時にね」
「テーバイ王は水を飲むつもりでも」
「それでもですか」
「その実はですか」
「彼は葡萄酒を飲んでいたのですか」
「そうしたんだ、そしてどんどん飲んでもらって」
 彼には水と思わせた葡萄酒をというのだ。
「ああしてだよ」
「酔わせたのですか」
「そうでしたか」
「そして乱れさせ」
「あの様に」
「そう、というか毎日仕事をして」
 今度はペンテウスのその暮らしのことを話した。
「羽目を外すことを嫌う」
「そのことはですね」
「どうしてもですね」
「ディオニュソス様にしては」
「どうにも我慢出来ないよ」
 彼にとってはというのだ。
「だからだよ」
「あの様にしてですか」
「テーバイ王を乱させる」
「そうさせたのですか」
「神も人も自分の働きがあってそれは行うべきである」
 ディオニュソスは笑って話した。
「けれどそればかりというのはどうかな」
「そう言われますと」
「それはですね」
「ディオニュソス様としましては」
「どうにもですね」
「そう、神も人も楽しんでいいんだ」
 それもいいというのだ。
「自分の仕事が終われば」
「その時はですね」
「遊んでいい」
「そうなのですね」
「そうだよ、だから僕はこの国の女達に酒を飲んでもらってね」
 そのうえでというのだ。 
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