レーヴァティン
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第百六十四話 幕臣その十一
「そして砂漠ならな」
「砂漠の宗教となりますか」
「そして耶蘇教は西の浮島の宗教だ」
「西の浮島で広まっても」
「この浮島ではどうか」
「合わないこともですね」
「有り得る、だから布教を認めてもな」
そして彼等が布教に勤しんでもというのだ。
「広く伝わりはせずな」
「信者もですか」
「広まらないかも知れない」
「そうですか」
「受け入れられてもだ」
それでもというのだ。
「広まるとは限らない」
「その教えが」
「これは素晴らしいものやそうでないかではなく」
「合う、合わないですか」
「人にはそれがあるからな」
「だからですね」
「耶蘇教もそうかも知れない」
この浮島に合うかどうか、そうなるとというのだ。英雄はお静に深く考える声で話した。だが表情は変わっていない。
「若しかするとな」
「合う合わないもあるとは」
「教えも難しいな」
「左様ですね」
「全くだ、だが他の教えを認めるからな」
「いいですね」
「同性愛についてもな」
こちらもというのだ。
「嫌な顔をしても攻撃し罪とはしない」
「それならいいですか」
「一線を越えていないならな」
それならというのだ。
「いい」
「一線を越えるかどうかは」
「大事だな」
「人も殺そうと思ってもです」
「実際に殺さないならな」
「罪にはならないですね」
「思うだけならな」
その時点で終わっていればというのだ。
「殺意だけでだ」
「罪にはならないですね」
「そうだ、そして言葉もな」
こちらもというのだ。
「出せばだ」
「それで終わることもありますね」
「だが思っているだけならな」
自分の中に止めていればというのだ。
「それでだ」
「終わりですね」
「失言も放言もだ」
「出さないとそうはならないですね」
「だが一線を越えるとだ」
即ち出すと、というのだ。
「それでだ」
「終わることもありますね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「だからだ」
「一線を越えないことはですね」
「大事だ」
そうなるというのだ。
「非常にな」
「教えもですね」
「嫌な顔をする位ならな」
「構わないですね」
「だが言葉に出してだ」
そしてというのだ。
「行動に移すとだ」
「ならないですね」
「他の教えを攻めたり同性愛を罪としたりな」
「そうなればですね」
「俺も断を下す」
「そうせざるを得ないですね」
「そうなる」
その時点でというのだ。
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