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第二章

「私こっちの才能あるのかしら」
「ええ、あるわよ」
「どんなお料理作っても美味しいし」
「焼き加減も煮加減もいつも最適で」
「切り方いつも奇麗だし」
「和菓子も洋菓子もちゃんと作れて」
「お料理の才能あるわよ」
 周りは真美に話した。
「本当にね」
「しかもいつも自炊して本読んで勉強して」
「努力も怠らないし」
「これは凄いわよ」
「久我山さん凄い料理人になるわ」
「まさか」  
 真美自身はこう思っていた、しかし。
 実際真美の料理の腕は見事だった、どんな料理も美味く作れた。ミスも彼女が思うにはあっても周りはそうは思えないものだった。
 真美は専門学校をトップで卒業し就職した、就職先はかなり有名なレストランだったが真美はそこでも抜群の評価であり。
 レストランのスタッフとの交際もはじまった、村上雅人という調理ではなく経営を担当している青年で鋭い目と先が二つに分かれた眉を持つ細面で黒髪を上の部分を伸ばした長身の青年だ。キックボクシングをしているので身体も引き締まっている。
 その彼が同居している真美に言った。
「君のお料理だけれど」
「今日はどうだったかしら」
「よかったよ」 
 肉じゃがと若芽と豆腐の味噌汁そして菊菜の浸しという夕食を食べてから話した。
「今日も」
「よかったわ」
「その料理の腕も手際もいいから」
 だからだというのだ。
「ユーチューブやってみたらどうかな」
「ユーチューブ?」
「ユーチューブに料理の動画を上げてみたら」
 そうすればというのだ。
「どうかな」
「お料理の」
「最近人気だし」
 それでというのだ。
「どうかな」
「そうね、じゃあね」
「最近ユーチューブも人気だろ」
「ええ、凄くね」
「人気のある動画は視聴数も凄い」
 村上は真美にこのことも話した。
「だからどうかな」
「やってみるわ」
 真美は村上に小さな声で答えた、才能は認められても穏やかな性格はそのままで声も小さく俯きがちなのだ。
「それじゃあ」
「うん、君の料理の腕ならきっと人気が出る」
 村上は太鼓判を押した、そしてだった。
 実際に料理を色々作って動画をあげるとだった。
 忽ちのうちに人気が出た、動画を上げる度に何万もの視聴数となり。
 それでだ、真美も驚いた。
「まさか」
「そこまで人気が出るとはかな」
「思わなかったから」
 だからだというのだ。
「それでね」
「驚いているんだな」
「ええ、私なんかが人気出るなんて」
 それがというのだ。
「信じられないわ」
「なんかじゃない」 
 村上は真美に強い声で言った。
「君は才能がある、それ以上に性格がいい」
「そうかしら」
「穏やかで真面目で意地悪をしない」
 真美のその長所を言うのだった。 
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