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レーヴァティン

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第百六十四話 幕臣その五

「それだけで済む」
「別に攻めても来ない」
「それ位だ、何ともない」
「そういえば上様の世界では」
「耶蘇教はこんなものではなかった」
「恐ろしい存在でしたね」
「民を勝手に売って奴隷にするだけでなくな」
 これだけでも許せないことがだがとだ、英雄は御坂にさらに話した。
「耶蘇教以外はだ」
「認めないのですか」
「そうだ、だから他の教えを攻撃してだ」
「滅ぼしていくのですね」
「神社や寺も怖し神主も僧も殺し」
「皆殺しですか」
「民もな。耶蘇教の者以外はな」
 それこそというのだ。
「全てだ」
「殺しますか」
「同じ耶蘇教の者ですら異端、違う宗派となればな」
「皆殺しですか」
「そうする、そして攻めても来る」
「その教えを押し付ける為に」
「そうしてくる」
 こうもしてくるというのだ。
「だからだ」
「この世界とはですか」
「全く違ってな」
 それでというのだ。
「危険極まる教えだ」
「そうでしたか」
「だから禁じられた」
 日本ではというのだ。
「治める方もそれを知っていてな」
「それで、ですか」
「そうだった、だがこの世界では耶蘇教は他の教えも認めていて」
「攻めても来ないですね」
「そこまでは絶対にしないからな」
 だからだというのだ。
「構わない」
「この浮島で教えを広めていても」
「そうだ、だが幕府の法には従ってもらう」
 これにはというのだ。
「そうしてもらう」
「当然のことですな」
「そうだ、だからな」
「耶蘇教もまたよし」
「そういうことだ、また御所の存在も認めているしな」
 都におられる英雄達が起きた世界での歴代の帝として祀られている神々もというのだ、こう言うのだった。
「いい」
「この場にあっても」
「一向にな、ではな」
「耶蘇教については」
「それでいい、あと他の外から来る教えもな」
「道教や回教もですか」
 御坂は回教、イスラム教のことも話した。
「そちらの教えもですか」
「入って来てもな」
「信仰を認められますか」
「ギリシアや北欧の神々もな」 
 こちらの信仰もというのだ。
「構わない」
「左様ですか」
「あらゆる教えはな」
「幕府の法に従うならですね」
「布教も認める」
「逆に法に従わないなら」
「認められない、だがこの世界の教えは多いな」
 ここでだ、英雄はこうも言った。
「中南米や北米、エジプトやメソポタミアやケルトの神々の教えもあるな」
「はい、ですが」
「それでもだな」
「その多くの教えは今は」
「石になっているか」
「世界の殆どが石になりです」
 大目付の平野が言ってきた。
「海に沈んでいますので」
「教えを伝える者も信じている者も石になっていてはな」
「この浮島までは届かないので」
「だからだな」
「はい、道教や回教はかろうじてです」
「二つの浮島にいた商人達が伝えているな」
「はい」
 だからだというのだ。 
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