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ドリトル先生の競馬

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第十二幕その九

「残念だね」
「全く以てね」
「イギリス料理を日本で作ると」
「これがね」
「美味しいから」
 そうなってしまうというのです。
「そして紅茶もね」
「紅茶まで日本の方が美味しいなんて」
「ショックだね」
「ええ、ただ本当のことだから」
「認めるしかないね」
「そうなのよ、私も主人と一緒によくお話してるわ」
 サラはお茶の会社の人としても言いました。
「日本の紅茶の方が美味しいと」
「うん、お水もいいから」
「そう、お水がね」
「かなりいいから」
「だから」
 それでというのです。
「その分もあるし」
「それにお茶の葉も」
「日本のお茶はまた違うんだよ」
「質がよくて」
「作り方もね」
「いいから」
 だからだというのです。
「日本の紅茶の方が美味しいんだ」
「そうなのよね、ただ」
「ただ?」
「その日本の紅茶が我が社の人気商品なの」
「イギリスでそうなっているんだ」
「だから今我が社はかなり業績がいいわ」
 そうなっているというのです。
「有り難いことにね」
「それは何よりだね」
「全く以てね」 
 サラは先生ににこりと笑って答えました。
「本当に有り難いわ」
「そして日本にもだね」
「我が社の商品を売ってね」
「そちらの業績もだね」
「いい感じよ、だから」
「これからもだね」
「八条グループにはよくしてもらって」
 取引相手である日本のこのグループにもというのだ。
「順調にね」
「業績を上げていきたいね」
「悪くても現状維持でね」
「そうありたいね」
「ええ、そう思っているわ」
「それは何よりだよ」
「それですき焼きも」
 ここでこうも言ったサラでした。
「食べるわ」
「そうさせてもらうね」
「是非共ね」
「そしてお酒もだね」
「お酒も出るの」
「そう思うよ」
 先生はサラに穏やかな声で答えました。
「王子も好きだしね」
「じゃあそのお酒は」
「王子は和食では日本酒だよ」
「日本酒ね。あのお酒もね」
「いいっていうんだね」
「イギリスでお米自体がメジャーじゃなくて」 
 そうした食べものでというのです。
「それで造ったお酒もね」
「ないよね」
「滅多に飲めるものじゃないから」
「それだけにだね」
「楽しみよ、ただ兄さんは日本酒よく飲んでるわね」
「日本にいるからね」
 それならとです、先生は妹さんに笑顔で答えました。 
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