眠れない夜は
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第二章
「だからね」
「人は寝るべきだね」
「本当にね」
「だから今の僕は」
「かなり危ないから」
「お医者さんに行ったら」
「原因を確かに聞いて」
そしてというのだ。
「寝ることだね」
「絶対にだよ、寝ないと」
増田は味噌汁を飲んで笑って話した。
「髪の毛も抜けるよ、僕みたいに」
「いや、それは」
「もうだっていうんだね」
「悪いけれど」
「わかって言ってるから」
つまり冗談でとだ、増田は渋沢に笑って返した。
「僕のは遺伝だからね」
「確かお父さんがだったね」
「三十五で逝ったんだよ」
「お父さんご存命でもだね」
「うん、髪の毛の方はね」
こちらはというのだ。
「僅か三十五歳にしてね」
「まあその歳でくる人もね」
「結構いるかな」
「それで君もだね」
「三十五歳でね」
奇も自分の父と同じ年齢でというのだ。
「逝ったからね」
「それでだね」
「そう、実は寝ることと関係ないよ」
「それを言ったら僕の太ってることも」
「遺伝だね」
「僕は三十からだったよ」
「そうそう、急にだったね」
増田は海老フライを食べている渋沢に話した。
「太ったね」
「それまではね」
「僕と同じ位だったのが」
「もうね」
それこそというのだ。
「急にだったね」
「そうだったね」
「実は家内にもね」
「色々言われてるんだね」
「カロリーの高いものは」
「それじゃあ今の海老フライも」
「その定食も」
実はというのだ。
「家内にはね」
「駄目だって言われるものだね」
「家でも厳しくてね」
「奥さんは痩せてるね」
「もう三十八になったとか言うけれど」
妻はというのだ。
「僕から見れば美魔女だよ」
「その言葉は四十代からじゃないかな」
「だから少し早いと思うけれど」
「痩せていてなんだ」
「というかスタイル全体がよくて」
それでというのだ。
「お顔に皺もなくてお肌も奇麗で」
「美魔女って言うんだね」
「そうなんだ」
「それでその奥さんがだね」
「厳しいんだよ」
「太ると身体によくないって言って」
「それでなんだ」
カロリーの高いものを食べることについて厳しいというのだ。
「本当にね」
「今の海老フライも」
「家内には内緒だよ」
「言わないよ、それよりもまずは」
「不眠症をだね」
「何とかしていこうね」
「まずは病院に行くよ」
こうしたことを話してだった、渋沢は病院に行った。この時彼は原因はストレスかと思っていた。だが。
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